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2018.08.10

一段安を警戒、年初来安値を睨んだ展開に[週間ビットコイン動向]

Panchenko Vladimir/ Shutterstock.com

7月下旬からここまでのビットコイン価格は、下への動きを強めており一時70万円台を割り込む場面も見られた。6月29日につけた年初来安値647525円(フィスコ仮想通貨取引所)を意識した展開を警戒する声も聞かれる。下落のきっかけは、話題となっていたシカゴ・オプション取引所(CBOE)が申請していたビットコインETFに対する判断を9月に延期すると米証券取引委員会(SEC)が発表したことが影響した。

CBOEは、VanEck and SolidX bitcoin ETFの上場を6月に申請しており、早ければ8月10日前後に初めてのビットコインETFが承認されるのではないかとの思惑が高まっていた。6月29日の年初来安値から7月25日につけた直近高値945000円までの上昇幅は297475円。1か月ほどで45%もの上昇率となった。

しかし、7月26日、SECが著名仮想通貨投資家であるウィンクルボス兄弟が創設した米仮想通貨取引所GeminiのビットコインETF申請を却下したことで、投資家のマインドは低下。今回のSECによる承認に対する最終的な決定延期は、当初から予想されていたスケジュール感ではあるが、市場では「CBOEのETF申請も却下されるのではないか」とのムードが広がっている。

足元、ビットコイン価格は70万円台前半で下げ渋っている。ETF絡みの思惑買いがスタートした7月上旬の水準まで下落、つまり「往って来い」の形状となったことで調整は終了したとの見方もある。70万円前後での値固めとなれば、反発のきっかけ待ちとなるが、心理的な節目である「100万円」や「1万ドル」手前で失速した状況を考慮すると一段安を警戒しておいたほうがいいだろう。

仮にCBOEの申請が9月に却下された場合、ある程度織り込み済みのため、投資家心理としてはネガティブなインパクトとはならないだろうが、6月の年初来安値647525円を割り込んでくると話は別だ。株、為替など伝統的金融資産と同じように、ビットコインを筆頭に仮想通貨も年初来安値を割り込んでくると「見切り売り(投げ売り)」が増加すると見る。

昨年12月にCBOEとシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)にてビットコイン先物の売買がスタートしたことで、投機的な売買を行うヘッジファンドがビットコイン先物市場に参戦を果たしたことも影響しそうだ。年初来安値を切ってくると「売り」を意識する投資家が増えることを利用し、ヘッジファンドがビットコイン先物に売りを浴びせると60万円割れの可能性もあろう。一段安を警戒し、レンジは60万円から75万円を想定する。

連載 : 「仮想通貨」マーケット実況
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文=田代 昌之

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