オバマが語った「人生の目的」を追求する方法

バラク・オバマ前米大統領( Aurelien Morissard/IP3/Getty Images)


2. 金銭的な動機は不十分

働き始めると、人は金銭だけを求めてしまうようになりがちだ。しかし、金に目がくらんでしまった人は大抵、何年もたってから目が覚め、金のために意義を犠牲にしてしまったのはなぜかと考える。オバマにとって、金銭が主な原動力であったことは一度もない。彼は、金銭的な動機は人生を導く指標にはならないときっぱり述べている。

「私は自分が持つ金の量に驚いている。それでも、こうした(裕福な)人たちの大半と比べれば半分にも満たない。10分の1、あるいは100分の1にも及ばないかもしれない。人が食べられる量や、持てる家の大きさ、経験できる楽しい旅の数は限られている。つまり、それで十分なのだ。清貧の誓いを立てなくても、『よし、私が助けてあげよう。食べるものがなく、学費が必要なあの子どもの面倒を見よう。この子を助けたい。税金を少し多めに払おう。大丈夫、自分には払える』と言うことはできる」

3. 最後には正義が力となる

オバマは、マンデラが投獄されていた期間は、彼が特に大きな影響力を持っていた時期だったと指摘した。人は極限状態や苦難の時、何が真実で価値のあるものかについての信条が解体される環境に置かれる。こうしたつらい時期でも信念を貫ければ、勝利をつかむことができるだろう。

「マンデラの力はこうした年月の間に強くなり、投獄者の力は弱まった。それはマンデラが、次のことを理解していたからだ。たとえ圧倒的な逆境に直面していても、真実を貫き、自分の心にあるものが何かを心得、そのために犠牲を払う意思があれば、あすや来週、さらには自分の生きている間に変化が起きなくても、一時は後退してしまうことがあったとしても、最後には正義が力となるのであり、その逆ではない。最後にはより良い物語の方が勝ち残れるのであり、非常に強靭(きょうじん)な精神を持っていたマンデラも一人で闘っていたとしたら希望を持ち続けることはできなかっただろう」

オバマは2013年、マンデラの追悼式で、故人の最大の才能は、人々が皆「目には見えないかもしれない形で」つながっていることを理解する能力だったと述べた。オバマはマンデラのアプローチを見て、目的の追求は常に、自分よりも他人のためであることに気付いた。「他者に自分を共有し、周囲の人を思いやることで、私たちは自己を実現する」(オバマ)

オバマはスピーチで私たち全員に対し、批判的思考を行うこと、自分の時間と金を使って何をすべきかについてしっかりと考えることを求めた。しかし、私たちの周りには雑音があふれていて、自分が正しい方向に向かっているかを理解するのが難しい時もある。

そんな時は、ダライ・ラマ14世による次の言葉を思い出せば、簡単に判断ができる。「私たちが現世で持つ第一の目的は、他者を助けること。助けられなければ、少なくとも他者を傷つけないこと」

編集=遠藤宗生

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