一方、モダ・リスボアのメディアパートナーを長年務めてきたヴォーグ・ポルトガルも同国ファッションシーンの国際的評価向上に努めてきたが、最近の方向性転換によってようやく、世界のファッション界からそのクリエーティブな取り組みが絶賛されるようになった。
同誌が2018年4月号で3通り用意した表紙の一つが、フェルナンド・カブラルとアルバ・ガローチャのヌード写真だった。撮影は写真家のブラニスラフ・シモンチーク。これがソーシャルメディアで話題を呼んだ。現代の出版界で、セレブの力やショッキング性に頼らず話題をさらったことは特筆に値する成果だ。
ソフィア・ルーカス編集長は「ヴォーグ・ポルトガルが進む新たな道は、よりミニマリストな方向だ。しかし、大胆さや奥深さに欠けるものではない。表紙は以前に比べて非常にすっきりしており、見出しはメインメッセージを伝えるための1文のみ」と述べた。「国内業界は、この国の原点、つまりポルトガルがファッション面で受け継いできた豊かな伝統を再発見しなければならない。世界、そしてポルトガル人の大半は、私たちが持つ遺産を全く知らない」
メディアのサポートやマーケティング活動は重要だが、それが収益につながらなければ成長も見込めない。販売の点では、ファーフェッチがポルトガル人デザイナーの主要な後援者になるかもしれない。同社の仕入れ・販売担当ディレクター、キャンディス・フラギスは、「ファーフェッチは世界的な販売サイトとして、国内・国外を問わずあらゆる素晴らしいファッションブランドが世界中で活用・称賛される環境を作ることを目指している」と語った。
ファーフェッチは先日、サイト上に「Shop the world(世界をショッピング)」と呼ばれるセクションを設けた。ここでは、一般の人がファッションとあまり結びつけないような国のデザイナーを特集している。焦点が当てられているのは韓国やオーストラリア、日本で、ポルトガルは(少なくとも現時点では)含まれていないようだ。
「このセクションは、当社が世界中から集めるコレクションに基づき進化を続ける予定。当社の品ぞろえの幅広さについて顧客に理解してもらい、インスピレーションを与えることを目指している。国際的なブランドだけでなく、国内でしか展開していないようなブランドも含めてだ」とフラギスは述べている。