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カリスマファンドマネージャー「投資の作法」

業績を伸ばしたスターバックスのハワード・シュルツ元会長(Getty Images)

日本の大企業の多くでは、社内競争を勝ち上がって社長になることがゴールになっている。そうした会社は社員も“消化試合”をしていることが多い。そんな会社に投資してはいないか?


某大企業の取締役が社長になった。その彼が、ある勉強会後の懇親会でしみじみと次のような話をした。

「社長になれたのは、はっきりいって夢のようだ。朝、この会のために秘書が分厚い資料を持ってきて、会場には社長車で来た。やっと苦労してここまできた」

サラリーマンとして大企業に入り、出世競争で派閥争いに勝ち、やっとの思いで社長になった。それは本当にすごいことなんだと思う。社長になれたことが、大成功の証しだ。失敗しなければ会長になれるだろうが、サラリーマンとしての最終ゴールは社長になることである。社長になってからは、あとは“消化試合”だ。

私、藤野英人も2003年に会社を起こした。会社なんて誰でも作ることができる。名刺さえ刷れば、「社長」を名乗れる。

しかし、それはただの紙であり、実際は売り上げゼロ。ただの貧乏人である。創業経営者というのは必ずそういう道を通る。だから創業経営者にとって社長とはゴールであり、スタートなのである。

私は「ひふみ投信」というファンドの運用者だ。過去に高い成績を上げてきた。その理由はなんだろうか? シンプルに述べると、次のとおりだ。

「社長になることがゴールの会社に投資をしないで、社長になることがスタートの会社になるべく投資をしてきた」

日本の大企業の多くでは、社長になることがゴールであとは消化試合になる。もちろん、次々にそのような社長が跡を継ぐので、会社はいつも消化試合ということになる。そういう会社は、社員もいつも消化試合を戦っていることになる。消化試合だからがんばらないし、怪我をしないで時間が過ぎるのを待つだけ、ということになる。投資家に会うこともない。そのような会社が、業績を上げて株価が上がるだろうか?

とはいえ、創業経営者にも似たようなタイプの人たちがいる。それは「上場ゴール」という会社だ。未上場の会社をなんとか上場させて、上場したら持ち株をそこそこに売り出して一息つき、会社を成長させる意欲を失ってしまう。そのような会社は上場という大きな目標に向かって努力をするが、成功するや「産卵を終えたシャケ」のようになる。

上場ゴールの社長にとっては、上場してからが消化試合になる。あとは、ほぼ自動運転。しばらくしたら、残りの持ち株を売却して創業者利得を得ようとする。創業者利得を得ること自体は悪いことではないし、賞賛されるべきことではあるが、上場そのものが目的化したら、それはある意味では投資家を侮辱することになる。

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