ウォール・ストリート・ジャーナルは、ウォルマートに次ぐ世界第2位のスーパーマーケットチェーン、クローガー(Kroger)が、ビザカードを拒否する方針だと報じた。まず、8月14日からカリフォルニア州の21の店舗と5つのガソリンスタンドから始めるということだが、ビザはアメリカ市民のサイフがわりともいえるクレジットカードであり、大きな波紋を呼んでいる。
2社が揉めているのは、もちろん決済手数料についてだ。ビザは、クローガー社と交渉が続いていることを認めたうえで、利用客に不便がないよう、最後まで円満解決になるよう努力している、と発表している。
クレジットカードはちょうど100年の歴史があるが、市場原理が働いていることもあり、手数料をめぐって、これほど揉めることは近年までなかった。ウォルマートが自社カードの提携先を、ディスカバーカードからマスターカードに変えるというような動きは以前からあった。
しかし、この動きは、消費者にしてみれば、自社カードでなくとも、どの主要カードでも買い物はできるという意味では、インパクトは大きくなかった。しかし、今回のように、消費者がビザを使用するのを拒絶するというのは、消費者にもクレジットカード会社にも、かなり大きな影響を与えるのは間違いない。
アメックスからビザへの切り替え
実は、この流れをつくったのは2年前のコストコだ。コストコはアメリカで生まれた会員制店舗だが、倉庫売りをアピールする小売店だけあって、各店舗は巨大だ。日本でも、「大量消費による節約感」がウケて、あっという間に26店舗が展開されているのでご存知のことだろう。
もともと、本場アメリカのコストコでは、自社カードか現金でしか支払いを受け付けなかった。クレジット決済手数料の節約が消費者に値下げ還元できるからだ。
ところが、10年ほど前、ついにアメリカン・エキスプレス(アメックス)がコストコに参入する。コストコの顧客は、現金かアメックスで買い物をすることになった。もちろんビザもマスターもコストコでは使えなかった。実は、このディールは、アメックスの会員を飛躍的に伸ばした。