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ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信


しかし、しばらく続いた蜜月のあと、コストコとアメックスの手数料をめぐる交渉が座礁し、それぞれが顧客に手紙を送って、「ただいま交渉中。しかし、交渉決裂となれば以降、アメックスは使えません」と睨み合うことになり、株式市場にも緊張が走った。ちょうど今回のクローガー社とビザのようにだ。

結果、2年前にコストコはアメックスと離縁して、「シティバンクが発行するビザカード」を唯一のクレジットカードとして切り替えた。これにより、アメックスは会員の1割を瞬時に失った(筆者の財布でも、アメックスが消えてビザが1枚増えた)。

この歴史的な切り替え作業を、筆者は常連客として見てきたが、消費者はコストコがやることならとまったく文句はないと、素直に従ったのは驚きだった。価格について消費者の強い信頼を得た小売店のパワーは、金融機関(アメックス)さえ凌駕するのかと感心もした。

実は、コストコの経営は、店頭売りは損益トントンで、会員制の会費が純利益とほぼ同額になるというスタイル。つまり、決済手数料をクレジット会社とハードネゴし、どこよりも安く販売することで集客力を高め、その結果としてさらに会員及び会費を増やすというビジネスモデルだ。会員は、これほど安く買えるのならと、約5000円の年会費には目をつぶる。

さらに会員数が増えれば、倉庫売りのほかに、保険などの金融商売もできる。実際、わが家は自動車保険も火災保険もコストコで入り、コストコのビザカードで毎年自動更新決済している。生活がすっかりコストコに囲い込まれているが、悪い気はしていない。

日本も、ますますクレジットカード社会へと加速しているように見えるが、この先、消費者も、クローガーvsビザやコストコvsアメックスのような「クレジットカード戦争」の恩恵を確実に受けることになるだろう。そのためにも、販売店とカード会社の関係は知っておいて損はないと思う。

連載 : ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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文=長野慶太

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