米国の富裕層はここ数年で、馬力のあるドイツ車やイタリア車ではなく、テスラを買って友人たちにひけらかすようになった。テスラはBMWやフェラーリをパフォーマンス面で越えただけでなく、富裕層が持つ環境問題への懸念にも応じた。そして今度は中間層が、これと同じことを7万ドル(約780万円)費やすことなくできるようになった。
モデル3は大衆向けの車ではないかもしれないが、減税や燃費、メンテナンスや転売などで大きな節約が期待できるだけでなく、無料の駐車スペースやHOVレーン(乗員が多い車の優先車線)が使用できるなどのメリットがある。年間走行距離が2万キロ以上の世帯は、モデル3購入を真剣に考えるべきだろう。
だが、あなたがどれでもよいので電気自動車を購入することを考えており、販売員から電気自動車ではなくガソリン車を買うよう勧められたとしたら、その理由は何なのかを考えてみてほしい。
テスラが今月、競争の激しい高級中型車部門で首位の座を維持することができたなら、私たちは転換点を目撃しているのかもしれない。化石燃料車に執着する超伝統的な米市場が、電気自動車はクールなだけでなく、非常に合理的だと気づき始めているということだ。
他のブランドは、車を売りたければテスラの後を追うしかない状況に追い込まれつつある。自動車メーカー各社は、電池生産に多額を投資したり、電気自動車の生産計画を早急に進めたりしている。テスラは業績不振や創業者の尊大な態度という問題を抱えているものの、長期的な視点では勝利の戦略を既に見出したのかもしれない。