傑出した航空会社として世界で長く認知されてきたシンガポール航空が首位を獲得したことは、世界中で伝えられた。しかし、米航空会社の成績についてはほとんど紹介されなかった。それはおそらく、結果があまりにもパッとしなかったからだろう。
例えば米紙USAトゥデーは上位20社のスライドショーを作成したが、その中に米国の企業が含まれていなかったことには言及していない。米企業で最も順位が高かったのは37位のデルタ航空だが、その評価はアエロフロート・ロシア航空(23位)、ノルウェジアン・エア・シャトル(32位)にも及んでいない。さらには、過去5年間で2機の航空機が墜落し、うち1機はまだ行方不明のままであるマレーシア航空(34位)に対してさえも後塵を拝した。
デルタ航空は昨年の32位から順位を5つ下げた。世界最大の航空機数と売り上げを誇るアメリカン航空は、そのはるか下の71位だったが、前年の74位からはわずかに改善したのみだ。
おそらく最悪の成績だった米航空会社は、88位のユナイテッド航空だ。2017年の78位から順位を10落とし、座席スペースが窮屈な格安航空会社(LCC)のライアンエアー(64位)や知名度の低い上海吉祥航空(81位)、エア・ドロミティ(83位)、ビスタラ(86位)よりも低い順位となった。「ユナイテッド航空についてはもちろん、大きな注目を集めた顧客サービス上の問題がある」とスマーズは述べている。
米航空会社は顧客の称賛を得るよりも、自分たちが“いくらかまし”になっていることをアピールしたいようだ。例えばアメリカン航空は先日、ベーシックエコノミークラスの乗客も9月5日からは、身の回り品に加えて手荷物1個を無料で機内に持ち込めるようにすると発表した。
実は、米国内線のみを評価する米航空会社クオリティー調査(AQR)などの調査では、過去3年間(2015~17年)での品質評価は毎年改善している。米航空企業はこの期間中、4つの重要分野のうち3つ(荷物の不適切な取り扱い、過剰予約による搭乗拒否、顧客からの苦情)で改善を見せた。唯一評価が下がったのは定刻到着率で、2016年の81.4%が2017年には80.2%に低下した。
スマーズは、「米国内線は10年前に比べて著しく改善した。現在はWi-Fiもあるし、チケットの変更もインターネット上でできる。また、飛行機の定刻到着率も上がっている。航空各社が資金不足だった2008年には、壊れている席があったり、Wi-Fiがなかったり、操縦士が解雇されたりしていた」と述べ、米航空会社は必要以上の批判を受けているとの見方を示している。
「米航空会社はおそらく、三つ星の航空会社だろうが、だからといって悪いことはない。正直言って、トップ10入りは目指すべきではない。トップ10入りするためには、献身や、高い料金設定、顧客体験を管理するための小型化が必要だ。米航空会社は、人々から好かれ、利用したがるような、堅実な航空会社になるべきだ」