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I'm a retail junkie who loves to see who is doing what.

Photo by Paco Nunez/Anadolu Agency/Getty Images

スウェーデンの家具量販店イケアは近く、インド第1号店をオープンさせる予定だ。欧米の小売業者はこれまで、インドの官僚主義を打ち破り、同国市場に進出することに苦労してきた。そのなかでイケアが実店舗の開業を実現させることは、かなり大きなニュースだ。

だが、それ以上に興味深いのは、インドがイケアにとって、進出する37番目の国になるということだ。ファストフード店を除けば、イケアほど多くの国で事業を展開している小売業者は他にないだろう。同社が店舗を所有・運営するのは24カ国にとどまるが(その他の国ではフランチャイズ展開)、それでもその成功は大きなものだ。イケアとその他の小売業者は、どのように異なるのだろうか。

まず、国内市場が非常に小さなスウェーデンで起業したイケアの経営陣は早い時期から、自社の成長には外国市場への進出が欠かせないと考えていた。自国市場の飽和を受けて次に何をすべきかと考える各社とは異なり、国際的な事業拡大はほぼ創業時から、同社の戦略に含まれていたのだ。

また、イケアにとって忍耐は美徳であるだけでなく、グローバル展開における当初からの原則でもあった。イケアは1985年に米国1号店を開業したが、2号店をオープンしたのはそれから数年後のことだ。現在も米国では、45店舗ほどを運営しているにすぎない。

インドへの進出もこれまでに、数回延期している。開業時から確実に、適切に事業を進めていくための微調整を行ってきたからだ。その他の多くの小売業者なら、「まずは開業。どうするかは後で考える」という態度を取るところだ。

イケアは店舗の全体的な雰囲気やビジネスモデルの一貫性を維持することと同時に、各国の文化や消費者の好みに自らを適応させることにも力を注いできた。DIY(自身でやる)習慣がないインドでは、この国では絶対に不可欠なものとして、店内での組み立てサービスを初めて提供する。

さらに、イケアの商品はどの国の人たちにも受け入れやすいものだ。扱う商品が何であれ、自国向けにつくった商品をそのまま他国で販売しようと試み、“翻訳”されるなかで多くのものを失ってしまう小売業者はあまりに多い。だが、イケアの商品のデザインに見られるシンプルで分かりやすい美しさは、ほとんどの国に受け入れられる。商品の大半が世界中のどの市場にも投入されていることが、その証拠だ。

インド初の店舗が開業すれば、当然ながらうまくいかないことも起きるだろう。イケアの名物であるスウェーデンのミートボールは、牛肉を食べない人たちの国では売ることができない。また地元の消費者には魅力的に映らない商品もあるはずだ。だが、イケアはそれらに対する解決策を見つけるだろう。それも、他のどの小売業者よりも短期間でそれらを実現すると考えられる。

イケアで買った本棚の組み立てに苦労する人たちは、どの国にもいるかもしれない。それでも、イケア以上に優れたグローバル戦略を展開することができた小売業者は、他にはない。

編集=木内涼子

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