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Dr Ali Parsa, Founder and CEO (c)Babylon Health

英国本拠の生命保険企業「プルーデンシャル」傘下の「プルーデンシャル・アジア」は、ヘルス領域のスタートアップ「バビロンヘルス(Babylon Health)」とライセンス契約を締結し、アジア12カ国でAI(人工知能)を活用したアプリを投入していく。

関係筋によるとプルーデンシャルは今後数年で、約1億ドル(約110億円)をバビロンヘルスに支払うという。プルーデンシャルはバビロンヘルスの推論エンジンや、シミュレーションソフト、医療的なナレッジグラフを活用し、人間の医師のカウンセリングに置き換わるシステムの開発を目指していく。

バビロンヘルスのヴァーチャルドクターの仕組みは英国のNHS(国民保険サービス)でも採用され、ロンドンでは2万6000名以上の人々が、ビデオ通話で医師と面談できるサービスを提供。年間80ドルを支払う有料会員も数千名以上に達している。

バビロンヘルスは今後、プルーデンシャルに医療関連の会話に特化したチャットボットを提供する。顧客らがこのチャットボットに症状を説明すると、医師との面談の必要の有無が判定され、医療コストを抑えつつ適切な知識を得ることができる。

バビロンヘルスはサムスンとも類似した契約を今年結んでおり、遠隔地の医師らのネットワークに健康相談ができるシステムを提供すると発表した。今回の提携では、バビロンヘルスのソフトウェアが、プルーデンシャルがアジア地域で年内にリリースするアプリに組み込まれる。

アプリの利用者は50件以上の質問に回答することで「健康グラフ」を構築し、様々な病気の発症可能性を診断できると、バビロンヘルスCEOのAli Parsaは述べた。

プルーデンシャル・アジアCEOのNic Nicandrouによると、このアプリを同社の顧客以外の人々にも活用してもらうことで、新規顧客の開拓につなげたいという。「アプリの利用を通じ、潜在的な顧客にリーチ可能になる」とNicandrou は述べた。

プルーデンシャルは約1500万名の顧客を抱えており、その約3分の1に保険料の支払いを行なっている。Nicandrouによると、アジア地域では健康保険サービスへの加入率が低く、大半の人々は医療費を自己負担しているという。健康保険サービスのメリットを顧客らに理解させることが、今後のプルーデンシャルの使命だ。

さらに、アプリを通じて病気を早期発見することで、医療コストの削減が可能になる。

バビロンヘルスCEOのAli Parsaは、同社のテクノロジーが単なる診断ツール以上のもので、実際の医療診断がこなせるレベルにあると説明する。だだし、医療分野では各国の規制の問題もあり、現状では医療サービスを補完する役割にとどまっている。

しかし、バビロンヘルスは長期的には、エンドツーエンドの医療ケアサービスを保険企業や各国の政府向けに提供することをゴールとしている。世界で高齢化が進み、医療費の高コスト化が進行するなかで、チャットボットを用いた医療サービスには期待が高まっている。

編集=上田裕資

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