シャンパーニュが生まれたのは17世紀だが、それからおよそ200年もの間、つまり19世紀の初頭まで、シャンパーニュとは今では考えられないほど甘い酒だったという。
まず、シャンパーニュの製法をおさらいしておくと、ブドウ果汁からスティルのワインを醸造(一次発酵)し、そのワインを適宜ブレンドして、瓶詰めする。このとき、酵母と糖を加えて熟成させるが、酵母が糖を食べて分解することからアルコールが生まれ、瓶内で二次発酵が行われる。その後、長い熟成期間(仏シャンパーニュ地方の規定では最低15カ月)を経て、溜まった澱を除去して量が減った分だけ甘みのあるリキュールをプラスする。
これを仏語でドサージュ(補糖)と呼び、たとえば現在のペリエ ジュエ グラン ブリュットでは1リットルあたり10g相当のところ、19世紀には1リットル300g当ものドサージュが成されていたのだという。
かなり甘ったるい印象だが、当時ロシアの貴族たちは赤ワインに砂糖をスプーンで加えて飲んでいたというエピソードもあり、甘味=贅沢な嗜好品と捉えられていた時代背景もあっただろう。また、生鮮食品の流通もいまのように進んでおらず、保存のために塩辛い食品が多かったことも、食味のバランスを取る上で甘口ワインが求められた一因かもしれない。
いずれにせよ、時代の変遷とともに、また大顧客であった英国王室の好みもあって、ペリエ ジュエはいち早く「ドライ」や「エクストラ・ドライ」と記載したシャンパーニュを製造。これが現代に続く「ブリュット(辛口)」シャンパーニュの草分けであり、現在は「ブリュット」が時代の趨勢であることはワイン愛好家であればご存知だろう。
そしてこの辛口のシャンパーニュを製造する上で、欠かせないのは良質なシャルドネ。ペリエ ジュエが所有するグラン・クリュ(一級)畑で栽培されるシャルドネはミネラル感、フレッシュさ、白い花のアロマなど、辛口シャンパーニュの骨格を成しており、このシャルドネの魅力を最大限に活かすことが代々のセラーマスターの最大のミッションとも言えるだろう。
創業から約300年でまだ7代目だというセラーマスター、エルヴェ・デシャン氏がいかにその伝統を受け継ぎながらも未来を見据え、ペリエ ジュエというメゾンの矜持を大切にしているか──。
<PERRIER-JOUET GRAND BRUT>
セパージュ:シャルドネ20%、ピノ・ノワール40%、ピノ・ムニエ40%
容量:750ml
価格:6850円(税抜き参考価格)
問い合わせ:ペルノ・リカール・ジャパン(03-5802-2671)
<今宵の一杯はここで!>
ユニオン スクエア トウキョウ 〜ここはどこ?と錯覚させる東京のリトルNY〜
「Square Cafe」の姉妹店として2007年にオープン。高い天井と窓外のグリーンはまるでNYで食事を楽しんでいるような錯覚におちいるスタイリッシュな空間。日本の旬の食材をアメリカの洗練されたスタイルで仕上げ、とくに福岡産和牛「ふるの牛のテンダーロインステーキ」はここでしか食べられない逸品として人気。
住所:東京都港区赤坂9-7-4東京ミッドタウンガレリア
電話:03-5413-7780 営業時間/ランチ
営業時間:11:00〜15:00(L.O.14:00)、土日祝11:00〜16:00(L.O.15:00)、ディナー17:00〜23:00(L.O.22:00)
定休:なし