こうした工程を経て、スウェーデンの飲料水基準を十分に満たすリサイクル水ができ上がる。この水は、多くの一般的な検査基準(化学・生物学的パラメーターや、医薬品・環境ホルモン化合物などの有機物基準)で全て、検出限界を下回っている。フィリプソンは「味は良いことを保証する。ただ、通常の飲み水と全く同じ味にするには、ミネラルをいくつか加えた方が良いかもしれない」と語った。
ニーヤ社が知る必要があったのはそれだけだったようだ。チャレンジは常に歓迎すると語る同社のアンバサダー、ステフェン・ディッペルは次のように述べた。
「このビールが本当に安全で、味も良いと100%確信できると、私たちはすぐに醸造所で話し合って、このビールは大義のための理想的な『ティーザー』プロジェクトだという結論に達した。これは私たちにとって、水保全の重要性を訴え、食べられるものに関する消費者の概念を覆す、本当にユニークな方法だ」
フィリプソンもこれに同意し、「このビールはまた、開放的で革新的な社会をたたえる製品でもある。これは、好奇心と広い心が恐怖に打ち勝てる場だ」と語った。
PU:RESTは透明性の高いピルスナービールで、アルコール度数は4.8%。有機ピルスナーモルトと有機シュパルターホップ、ブルックリンハウスラガーの酵母、IVLの施設で浄化された水が使用されている。モルトから得られるかすかなパンの味、ホップからのすっきりとした草とシトラスの香りがほんのり感じられる仕上がりで、醸造チームは「ユニークな水を原料としていることから、非常にクリーンですっきりした味」になるよう注力したのだという。
一度きりの実験的商品として発売されたPU:RESTだが、今のところ大きな反響を呼んでいる。同社とIVL、カールスバーグには、スウェーデン内外のさまざまな関係者から、数百件もの問い合わせが寄せられた。
PU:RESTは、6月に開催されたスウェーデン最大のフードフェスティバルでデビューし、7月初旬からは国内の一部店舗で限定販売された。「残っているボトルの数は多くない。消費者も、このビールとプロジェクト自体を気に入ったようだ」とディッペル。
PU:RESTは今秋、数多くの環境会議で提供される予定。カールスバーグ・スウェーデンのコミュニケーション代表、ヘンリク・ビストロームによると、「非常に高い関心」を受けて追加生産も検討されているが、現時点では未定だ。