トヨタと日産によるサプライズ、クルマの聖地で「戦略車」を披露

トヨタ・スープラ(A90)


さて、いっぽう日産も、同じ地で上級スタッフが発表したばかりのGT-R50 by イタルデザインを披露すべく奮闘していた。名前についている50は、1968年に誕生したGT-Rの50周年、そしてイタリアの名門デザイン・スタジオ、イタルデザインの50周年を記念しての命名だ。

GT-R50のプロトタイプは、2018年モデルの日産GT-Rニスモをベースに、日産のアメリカとヨーロッパのデザイン・スタジオが共同でデザインしたが、開発・製造はイタルデザインが担当している。


GT-R50 by イタルデザイン

同スタジオは、世界でもっとも評価される自動車車体製造の会社の一つで、アルファ・ロメオ・ブレラ、ロータス・エスプリ、マセラティ・メラックほか数々の高級スポーツカーやコンセプトを送り出してきた。そして、今回はその高度な解釈力で日産のデザインを実現し、複雑なプロトタイプを完成させた。

50周年を記念するGT-Rは、もちろんパワーや駆動系を味付けしなければ完成しない。GT-Rニズモのプラットフォームとして、GT-R50は標準の3.8LのツインターボV6を搭載し、パワーは600ps からなんと720ps、トルクは780Nmまでアップされている。

話題のクルマのお披露目とあり、会場で出くわした日産のデザイン・チーフはメディア対応にとても忙しそうだった。またこの場で同社のグローバルデザイン担当シニアVPのアルフォンソ・アルバイザは、「誕生50年と、イタルデザインの50周年を記念して、GT-R50を50台製造する」と発表した。


日産のグローバルデザイン担当シニアVPのアルフォンソ・アルバイザ

ところで、販売価格は90万ユーロ(約1億1600万円)になるそう。これは高額だ。僕が聞いたところでは、これでGT-R50はもっとも高価な日本車になるらしい。でも、結局のところ、基本1870万円のGT-Rニズモにゴールドのエアロパーツ付きの特製ボディにして710馬力のエンジンを積んだら1億超になる付加価値があるのか。

まあ、それはともかく、この会場では日産のレーシング・ドライバーでニュルブルクリンク24時間レースのクラス優勝者のルーカス・オルドネスが、イタリアのデザインによるGT-R50に乗り込み、エンジンをかけると時速250キロで館の前をヒルクライムして行った。これを見れば、この価格に納得する人もいるだろう。触手が動いている人のために言っておくと、それは確かにミリオン・ダラーに相応しい高速スプリントだったことは間違いない。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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