老舗「東京會舘」の社長が大切にする支配人の教え


クリエイティブなアイデアを生み出す方法は、私の場合は散歩です。会議が早めに終わったり並ばずにランチを食べ終えたりしたときは、30分ほど日本橋川周辺を歩きます。もうひとつは書き出すこと。システム手帳に目標や問題点などを日々書き綴っているのですが、散歩をしていると、そのいくつかが結びついて解決策や新しいアイデアが生まれる感覚があります。

あとは趣味と実益を兼ねた古書店巡りでしょうか。収集癖というか、絶版本を所有したい欲が強くて(笑)。だいたいは欲しい本を1冊決め、神田神保町の古書店街をぶらぶら歩き、多いときはシリーズ物全巻を購入したりします。

最近集めている古書はハヤカワ・ミステリ文庫の「007」シリーズや、杉本一文さんによる装画が掲載された横溝正史の小説など。座右の書は、幸田露伴の『努力論』。誰かに何かを諭すときは、漠然とした理想を言うのではなく、スタート時に何をやるべきかまで導くことが大切だということをこの本から学びました。いまでも事あるごとに読み返しています。

〈渡辺訓章のある1日〉

6:00 起床
8:00 出社
9:00 始業時間
9:30〜11:30 会議
12:00〜13:00 ランチ
13:30〜15:30 来客
15:30〜18:00 会議・デスクワーク
18:00 退社
18:30〜21:30 会食
22:00 帰宅
0:00 就寝

〈渡辺訓章が大切にするもの〉



万年筆
総支配人になったときにダンヒル、役員になったときにはモンブランなど、都度の節目に亡き父から譲り受けた万年筆。新品ではなく父の愛用品であり、大事な形見の品として、普段はインクを入れずに保管しています。

野球のユニフォーム
現在大学3年生の息子は小学校6年間、少年野球チームに参加しており、私も毎日曜日にコーチや審判をしていました。このユニフォームは中央区で優勝し、都大会に出場したときのもの。右肩に縫い付けてあるのは主催企業のワッペンで、優勝するともらえる戦利品です。


わたなべ・のりあき◎ 1958年、東京都生まれ。82年、駒沢大学法学部卒業後、東京會舘に入社。浜松町東京會舘総支配人、本舘宴会支配人兼婚礼支配人などを経て、2014年に取締役本舘総支配人に就任。17年4月より現職。

構成=堀 香織 写真=yOU(河崎夕子)

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