キャリア・教育

2018.08.05 17:00

年間2万人が見学に訪れる「産廃処理の会社」が描く未来


産廃処理の会社が里山を守る

石坂産業の周りには里山があります。里山とは、都市と自然の間にあって、人が利用している森林をいいます。この里山のうち、東京ドーム4個分にあたる領域を、石坂産業がきれいに整備して管理しています。しかし、それは会社の敷地ではありません。他に地主さんのいる土地ですが、それを石坂産業は自らの資金で、美しく整えています。


石坂産業が整備している里山

もともとその場所は、粗大ゴミの不法投棄が続き、害虫が湧いたり悪臭がしたりと近隣からの苦情のもとになっていたそうです。石坂産業が放置した粗大ゴミではなかったのですが、産業廃棄物施設の近くということもあり、近隣からはそのように見られてしまうため、回収して処理していたそうです。

しかし、ゴミを回収した翌日には、新たにまた不法投棄されるという、いたちごっこ。そのため、地主さんに申し出て、石坂産業が管理することにしたそうです。ちなみに現在、石坂産業が管理する里山は、素敵な森となっており、環境教育のフィールドにもなっています。


(左)レンガと、ごみとして持ち込まれた岩を庭に再利用 (右)捨てられた枕木を森を美しく見せることに活用

さて、その里山は、どこを歩いていてもゴミひとつなく、雑草も生えていません。また、砕いて再利用した瓦を敷き詰めたキレイな庭があったり、捨てられた枕木を森の中で活用したりと魅せることを意識されており、再生された資源の活用例を目の当たりにすることができます。石坂産業は、年間2万人という見学者に、こうした再資源化の現場を見せてくれています。

日々たくさんのものがつくられ、捨てられています。この捨てられているものすべてを地球の資源として再生するべく、アクティブな挑戦をし続けている石坂産業という会社があることは、日本にとってとても幸運なことだと思います。地球環境を守るモデルを、日本から創ることができるかもしれません。

ものづくりだけではなく、つくられたものの行き先にももっと目を向け、どうやったらゴミを資源に変えられるのか。個人も企業も知恵や技術を出し合って取り組まなければいけないと思います。その意味で、石坂産業は「減量化リサイクル率100%=地球環境を守る」の実験場になると確信しています。

連載:変革は地方から始まる!
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文=竹部美樹

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