世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版


「勝つ」と「負ける」を考えるのはもう辞めた

振り返ってみると、20代はずっと「勝つ」ためだけに仕事をしてきました。フリークアウトもイグニスも、1期目から黒字を出していく。大振りしないで球を当て、とにかくヒットを打てればオッケーというやり方で着実に点を重ねてきました。


heyのスローガンは「Just for Fun.」

だから「hey」では「こういう仕組み、やり方をすれば勝てる」っていうのを取っ払って、「こういう世の中になる方がいいから、それを自分がやってみよう」という基準で意思決定しています。初めて「勝つ」とか「負ける」とか関係なく、「そこに時間をかけるべき」と思って仕事に向き合えています。20代とは違う判断基準で事業を進められている実感がありますし、これからどこに向かっていくのか、僕自身も楽しみです。

もうひとつ、20代のときから変えていきたいのは、他人の感情や考えとの向き合い方。以前の僕はとにかく問題解決が最優先で、それ以外はどうしたっていいとさえ思っていました。

どんな状況でも「どうやったら解決できるのか?」と考える前向きな性格なので、わからないことやできないこと、理解し合えないことを受け入れるのが大の苦手です。他人や会社のメンバーの考えや常識を変えさせてもいいから、自ら最適解を掴みたいと思ってしまうんです。

でも、その結果として人を傷つけている場面も多くあった。フリークアウトの社員からは、人に「興味がないよね」と言われたこともあります。それを聞いたとき、妙に納得したんです。確かに自分が相手の立場なら、「リスペクトされていない」と悲しい気持ちを抱いたかもしれないと。なので、今は直していきたい。

もともと内省的な性格なので、30代になった今も、夜寝る前には「今日はあれができなかった」と落ち込んでいます。そういう気持ちは、どれだけお酒を飲んでも、友達と遊んでも、頭にこびりついてしまって離れない。自分の仕事の成果で払拭するしかないんですよね。

とにかく理解の境界線を拡げていく。先週よりも今週のほうが、事業や製品、お客さんについて理解できている。そう信じられるよう、毎日積み重ねていく。これは、どれだけ年齢を重ねても多分、変わらないんじゃないかと思います。



佐藤裕介◎2008年、グーグルに入社し、広告製品を担当。2010年末、COOとしてフリークアウトの創業に参画。また、株式会社イグニスにも取締役として参画し、2014年6月にはフリークアウト、イグニス共にマザーズ上場。2017年1月、フリークアウト・ホールディングス共同代表に就任。エンジェル投資家としても活動。

文=向 晴香 写真=小田駿一

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい