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2018.08.01

新たな「働きがい」を見つけるために必要な「IKIGAI」とは

Africa Studio / Shutterstock


「自分の好きなこと(What you LOVE)」と「自分が得意なこと(What you are GOOD at)」、「報酬が得られること(What you can be PAID FOR)」、そして「社会が必要としていること(What the World NEEDS)」ことの重なりの真ん中にIKIGAI 「生きがい」があるという考え方だ。

「好きなこと」と「得意なこと」の重なりが『パッション(夢中になれること)』「得意なこと」と「報酬を得る」との重なりが『プロフェッション(職業、専門性)』「報酬を得る」と「社会の必要性」の重なりが『ボケーション(適職や天職)』、「社会の必要性」と「好きなこと」の重なりが『ミッション(使命)』として4つの円の重なりで示されているIKIGAIのコンセプトは、今の時代を生きる私たちの働くことへの価値観をも一致するものとして大きな賛同を呼んだ。

筆者が所属するATD(Association Talent Development:米国に本拠地を置く世界中に約4万人の会員を擁する世界最大級の人材開発関連プロフェッショナル協会)では、毎年5月、米国にて1万人規模(内4分の1はインターナショナルのメンバー)が集う国際カンファレンスが開催される。

4日間400セッションという規模のカンファレンスだ。2017年はその様々なセッションで、仕事と”LOVE“や”Happiness”という一見相いれないような表現が使われているのを聞き、かつ、「これって日本のIKIGAIの考え方でしょう?」と米国の人から言われ、「えっ、日本の? IKIGAI?」と若干面食らった覚えがある。

テクノロジーの進化によって、四六時中”available“であることが期待されるような状態や、オン・オフの切り替えも各人の自律性に負うところも多い働き方になってきた米国企業を中心としたグローバル企業や、ネットとのつながりが常態化している今日の生活では、職業と個人的な人生との境界線がぼやけてきている。

人生を構成する相互の役割、関係、責任の間の有意義な関わりをつくることが重要だとして、「ワークライフバランスはもう古い。ワークライフインテグレーションこそ我々の目指すべき働き方や生き方を示している」と米国で言われ始めていたころとも重なったのだろう。

プライベートと仕事という2軸ではなく、仕事もプライベートも人生の大切な要素であるとすれば、何を目的として、どのように生きるのか、自分を活き活きとさせてくれる事は何か、人生の一部である仕事を楽しむこと仕事を愛することが出来なかったら、意味のある人生、働き方にならないのではないか、と言われ始めていた。

日本でこの本はどれほど話題になっただろうか? 邦題が「外国人が見る方長寿ニッポンの幸せの秘密」である。改めてその本を読み、「IKIGAI(生き甲斐)」の図解を見て納得したのであるが、そのころ日本では、「働き方改革」が叫ばれ、長時間労働が問題になっていたことになんとも言えない違和感を覚えたことを思い出す。
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文=中原孝子

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