子供向けの金融教育、いったい何を教えるべきか?

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「日本の子供に金融教育が必要な理由」と題して、2回にわたり書いたところ、各方面から想像以上の反響をいただいた。賛否両論あったものの、本件に対する関心の強さを感じることが出来た。そして、何百人という方々から様々な意見をもらう中で、いくつか明確にすべき事項を見つけた。

今回はそのうちの1つ、「子供向けの金融教育で何を教えるべきか」について触れてみたい。

「儲け方」を教えるのではない

子供向けの金融教育を普及させたいと言うと、「子供を詐欺師にする気か」「ハゲタカを育ててどうするんだ」「金融は危ない」というような意見をもらうことがある。非常に悲しいが、未だにこの国においては金融については、このようなネガティブな反応を示されるケースが多い。

当然、金融に関する知識が皆無であれば、確かに危険なこともあるだろう。しかし、それは自動車の運転と同じで、運転の仕方、交通ルールも知らなければ非常に危険ではあるが、しっかりと知識があれば非常に便利なもので、手放せなくなる人も多い。

しかし、それ以上に筆者がひっかかるのは、「金融=投資」という連想をする人があまりにも多いということである。「金融」という言葉は非常に範囲が広く、確かに投資や資産運用は含まれる。しかし、それらは金融の一側面に過ぎない。「金融は危ない」というのは、まさに「金融教育=投資教育」で、損するかもしれないという発想から生まれる反応なのだと思う。

だが、筆者が考える「金融教育」とは 「どう儲けるか」を教えるものではない。いずれは「お金に働いてもらい、どのように資産を増やしていくのか」という話も当然ながらしていくべきであるが、それはかなり後半の話になる。

では、儲け方でなくて、何を教えればいいのか?

小学校低学年で「機会費用」を学ぶ米国

たとえば米国では、様々な大学や民間団体が金融教育の教材を開発し、実際に幅広い年齢から金融教育を実施している。しかし、教材ごとに多少の違いはあるものの、投資から教育を始めているものは見たことがない。筆者の考える子供向け金融教育の内容はこれらの教材に非常に近いため、今回は金融教育先進国の1つである米国がどんなことを教えているかを紹介したい。
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文=森永康平

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