世界4位の中国「海運企業」が身代金ウィルス感染の可能性

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2017年の夏に猛威を振るったランサムウェアの「NotPetya」。被害者の中でも特に名の知れた企業がデンマークのコンテナ海運世界最大手「A・P・モラー・マースク」だった。被害額は2億ドル(約220億円)に上ったとされる。

そして今度は別の海運大手が標的になった。上海に本社を置く世界4位の「Cosco(中国遠洋海運集団)」だ。

詳細は明らかにされていない。プレスリリースにはランサムウェアという文字すらなく、「ローカルネットワークの障害」によってアメリカの拠点でのビジネスに支障が出ていると説明されているだけだ。

しかし、同社の社員に送られた社内メールにはランサムウェアへの感染を匂わせるものだった。この社内メールを入手した海運関連ニュースは、疑わしいメールに注意を喚起するような内容だったと報じている。アメリカ以外の国の拠点に対しては、感染が拡大しないようにマルウェア対策を強化するようにとも指示されていた。

2017年にA・P・モラー・マースクがNotPetyaに感染した際には船が港で足止めを余儀なくされるほど被害が大きかったが、今回のCoscoの一件はそれほど深刻ではないようだ。

Coscoで起きている問題の大部分が通信に関するもののようで、Eメールや電話に影響があり、同社のアメリカ国内向けのウェブサイトはアクセスできない状態が続いていた。Coscoはすべての船舶が通常通りに運航しており、「主要なビジネスオペレーションシステム」は安定していると主張している。

この発表の内容が状況を正確に表しているのであれば、Coscoにとっては幸運だったと言える。ランサムウェアに感染するとシステムの復旧に長時間を要し、数億ドルの損害を被る可能性もあるからだ。この件に関して全容が明らかにされるのは、次の四半期の業績発表の時になるかもしれない。

編集=上田裕資

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