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2018.07.30

米ドラマ界を支える女性脚本家、ションダ・ライムズの人生

ションダ・ライムズ(Photo by David Livingston / Getty Images)

7月にフォーブスが発表した「アメリカで最も成功した女性」(America’s Richest Self-Made Women)ではトップ60位圏内に入らなかったものの、確固たるキャリアを築き、莫大な資産と影響力を持つ女性たちがいる。「グレイズ・アナトミー 恋の解剖学」や「スキャンダル 託された秘密」といった人気ドラマのプロデューサー、ションダ・ライムズもその一人だ。

昨年、ネットフリックスと推定1億ドル(約112億円)の4年契約を結んでテレビ業界を騒然とさせたライムズの資産額は、推定1億3500万ドル(約152億円)に及ぶ。ライムズ個人はネットフリックスとの契約料のごく一部しか受け取っていないため、資産の大半は、ネットワーク局ABCのドラマを通じた収入だ。

ライムズは自身のプロダクション、ションダランド(Shondaland)で「グレイズ・アナトミー」「スキャンダル」「殺人を無罪にする方法」「プライベート・プラクティス 迷えるオトナたち」などのABCドラマを製作。エグゼクティブ・プロデューサーとして報酬を得ただけでなく、それらの番組の放映権の販売額から少なくとも10%を受け取ってきたとされる。

中でも人気の高い「グレイズ・アナトミー」の1話あたりの放映権は、ケーブル局ライフタイムでは120万ドル(約1.3億円)、ネットフリックスでは100万ドル(約1.1億円)だ。さらにライムズは2014年から3年間、毎年1000万ドル(約11億円)の独占契約料をABCから支払われていた。

「私は昔からストーリーテラーだった。それ以外の自分の姿は想像できなかった」。現在48歳のライムズは、2016年のMIPCOM(国際テレビ番組見本市)での受賞スピーチでそう語っている。

シカゴで大学教授の母親と大学管理職員の父親の間に生まれたライムズは、子どもの頃から読書に親しみ、小説家になる夢を抱いていたそうだ。しかしブロードウェイでウーピー・ゴールドバーグ主演の舞台や「Colored Museum」(11本の寸劇によってアメリカの黒人社会を描いた作品)を観て演劇に興味を持つようになる。そして、1991年にダートマス大学卒業後、脚本を学ぶために南カリフォルニア大学大学院の映画芸術学科に進学。そこで「自分に合った、より楽しいストーリーテリングの手法を見つけた」という。

大学院を出てからは、様々なアシスタント職を経て、映画の世界に進んだ。1998年、ハル・ベリー主演のHBOのテレビ映画「アカデミー 栄光と悲劇」の共同脚本を任されると同時に、短編映画「Blossoms and Veils」を監督。他にブリトニー・スピアーズ主演の「ノット・ア・ガール」(2002)や「プリティ・プリンセス2/ロイヤル・ウェディング」(2004)といった若い女性をターゲットにした映画の脚本も手がけた。
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編集=海田恭子

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