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As a former CMO, I’ve worked both in the U.S. and overseas for a variety of companies...

George Rudy / Shutterstock.com

私が日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)で働き始めた頃、消費者と直接関わりコミュニケーションを取る時間は、せいぜい30秒程度だった。その時重点を置いていたのは、自社が伝える必要のある最も重要なアイデアを特定し、それを消費者へ伝達することだった。

その後P&Gを離れてカタログ/ネット通販会社へ移った時に、ある重要なことを学んだ。その会社では、カタログやウェブサイト、コールセンターを通じ、消費者1人と30分以上にわたり関わることが多かった。従ってマーケティング上のメッセージは、すぐ理解できるただひとつのアイデアではなく、説得力のある一連のストーリーによって、より持続する深い関係を構築する必要があった。私は、素晴らしいストーリーテリングがいかに難しいかを学んだ。

今では多くの最高マーケティング責任者(CMO)が、ストーリーテリングを通じたより質の高いコンテンツの提供を、マーケティング上の必須項目と認めている。私は、ストーリーテリングがマーケターにとっての優先事項であるべき理由を理解すべく、ジェームズ・ウォーレンに話を聞いた。

彼はストーリーテリングに関する知見を提供する企業、シェア・モア・ストーリーズ(Share More Stories)の創業者かつCEOで、バージニア州のマーケティング会社、JMIのブランド戦略担当役員も務める。彼は、マーケターが顧客を惹きつける上でストーリーテリングが最善の方法である理由として、以下の3つを挙げている。

1. マーケターはストーリーテリングを通じ、オーディエンスとより深い関係を築くことができる。ストーリーテリングは人々を結びつけ、より強く深い関係を促す、人間の基本的体験だ。人類は石器時代から、ストーリーテリングをコミュニケーション、教育、情報共有、絆構築の手段として使ってきた。

例えば自動車メーカーのスバルは、“愛”をテーマとした一連の広告を通じ、愛する人に対する思いやりのシンボルとして、自社ブランドを確立した。息子や娘を気遣う父親や、ペットを気に掛ける飼い主が登場する一連の広告は、自動車の馬力ではなく、家族にとってこのブランドが何を意味するのかを強調している。ストーリーを通じてブランドイメージを伝えることで、ブランドの意義を高め、消費者の生活にどう溶け込むのかを具体化することに成功したのだ。

2. ストーリーテリングは、強力な学習ツールとなる。マーケターは常に、現代社会や、自らが体現するブランド、そして自分たちが仕える消費者について、より多くを学ぶ努力をしなければならない。ストーリーのユニークな点のひとつは、知識や意味を伝えられるということだ。

学びは観察や直接の経験を通じて得られるほか、そうした経験をストーリーを通じて共有することでも得られる。ストーリーテリングは、マーケターが市場動向を理解し、それが顧客、消費者、社会、ブランド、企業にどのような意味を持つのかを知るための強力なツールとなり得る。

編集=遠藤宗生

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