ビジネス

2018.07.30

仮想通貨をギフトカード化するイスラエル企業「Zeex」の野望

Photo by S3studio/Getty Images

ここ最近のブロックチェーン領域で高まるのが、このテクノロジーを現実社会に適用するための活用モデルを探る動きだ。数千社ものスタートアップ企業が分散化のパワーで、世界を根底から変えようとしている一方で、大半の人々はスターバックスのコーヒーを現金やクレジットカード払いで購入しているのが現実だ。

背景には仮想通貨の保有者がまだ、ごくわずかしか居ないことがあげられる。そのため、仮想通貨を用いたビジネスの規模は限定され、決済にコインを使用したいという人も増えない。また、仮想通貨を所持する人の大半がコインを投資目的で手に入れており、通貨として用いる意欲がないこともあげられる。

仮想通貨市場全体の時価総額は3000億ドル(約33兆円)にまで膨らんだものの、アクティブな利用者は非常に少ない。また、価格の変動が非常に激しい点も通貨として利用する場合のデメリットだ。例えば1時間後に10%の値上がりが期待できる仮想通貨で、コーヒーを買いたいという人は居ないだろう。

そんな課題の解決に向けて動き出した企業がイスラエルの「Zeex」だ。ブロックチェーンを用いた決済ソリューションを提供する同社は、仮想通貨をギフトカードに交換することで、決済利用を広げていこうとしている。

同社の姉妹会社には、未使用ギフトカードの交換プラットフォームを運営する「Zeek」があり、アマゾンやアディダス、ナイキといった350社以上のトップブランドと消費者を結んでいる。Zeexはこのネットワークを活かし、仮想通貨を各ブランドのギフトカードと交換する取り組みを進める。

ZeexのCEOのGuy Melamedは筆者の取材に次のように述べた。「仮想通貨の利用を一般レベルに広げるためには、製品やサービスとダイレクトに結びつけるのがベストな選択だ。Zeexは企業が独自のブロックチェーンベースのギフトカードを発行するプラットフォームを提供し、消費者はそのカードで匿名性を保ちつつ買い物が可能になる」

MelamedによるとZeexは既存のギフトカードのインフラを活用するため、企業側は新たな決済プロセスを追加する必要がないという。また、プリペイド型のビジネスに特有の退蔵益(消費されなかった前払い金から生じる利益)が期待できる点も、導入メリットになるという。

仮想通貨の決済利用が一般化するまでには、まだかなりの時間がかかりそうだが、Zeexのような企業によって新たなイノベーションが進み、通貨としての利用が広まることが期待できる。

編集=上田裕資

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