キムは2017年にコスメブランド「KKW Beauty」を立ち上げた。最初のプロダクトは48ドルのメイク・キットだった。
(Photo by Presley Ann/Getty Images for ABA)
「私自身が10年以上にわたり続けてきたメイクのノウハウを、凝縮したプロダクトにした」と彼女は2017年のフォーブスの女性サミットで述べていた。
キムの公式サイトで独占販売されたコントゥアリング・メイクキットは、販売開始から2時間で推定30万ユニットの売上を記録。KKW Beautyはその後、パウダーセットやコンシーラー、口紅やアイシャドウ、香水にまでラインを拡大した。
同社の売上は推定1億ドルに達しており、現在37歳のキムは株式の100%を保有している。フォーブスは今年の「アメリカで最も成功した女性」(America’s Richest Self-Made Women)ランキングの発表にあたり、キムの資産額を3億5000万ドル(約390億円)と推定した。今年で4年目を迎えた本ランキングに、ウエストは54位で初登場した。
キムは異父妹のカイリー・ジェンナーとともにランキング入りを果たした。カイリーも2年前にコスメブランド「Kylie Cosmetics」を創業し、資産額は9億ドルとされた。キムとカイリーのビジネス戦略の共通点は、まずは1つのフラッグシップ・プロダクトに専念したことだ。カイリーの場合は、2015年11月に口紅セットの「lip kits」の販売を開始した。
キムの異父妹、カイリー・ジェンナー
キムはかつてモバイルゲームでも財を成したが、その際はロイヤリティ収入を得ただけだった。しかし、KKW Beautyの場合は完全に自身が運営する企業だ。
SNSで合計2億人以上のフォロワー数を誇るキムは、マーケティング費用をほとんどかけずに商品を宣伝できる。製造やパッケージングはカイリーと同じ外注業者の「Seed Beauty」に委託している。また、オンライン販売は「Shopify」に任せている。キムは売上の約40%を利益として得ていると推定される。
製造や販売は外部企業に委託
KKW BeautyとKylie Cosmeticsは、有名人の知名度を利用したビジネスの新しいロールモデルといえる。外部企業に名義を貸して、ロイヤリティを受け取るのではなく、自身のブランドを立ち上げるのだ。以前と比べれば、外注業者への製造委託やEコマース業者への販売委託は劇的に簡単になった。
「これまで様々な事業モデルを、外部業者との取り組みで試してみた。カップケーキもやったし、フィットネスのDVDもやった。でも、ロイヤリティを受け取るよりも、自分のビジネスを立ち上げたいと思った」とキムは昨年のフォーブスの取材に応えた。
キムは夫のカニエ・ウエストとともに子供服のオンライン販売事業「Kids Supply」を立ち上げ、自身のセルフィーやボディパーツなどをアイコン化した絵文字アプリ「KIMOJI」も配信中だ。KKW Beautyが成長を続けるなかで、キムはさらに多様な分野に進出しようとしている。彼女の勢いは当分とまりそうにない。