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国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

ポルシェ 919エヴォ

毎夏、南イングランドはウェスト・サセクスにある英国貴族マーチ卿の領地で開催される自動車の祭典「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」。 車好きの聖地の一つといえるグッドウッドは、面積がなんと港区と渋谷区、目黒区を併せたほどの広大な、緑豊かな土地だ。

そこが今年は、シュトゥットゥガルトの轟音でいきおい活気を帯びていた。というのは、今年の祭典のスポンサーを務めたポルシェが、そのブランドを代表する名車356スピードスターの誕生70周年を祝って、シュトゥットゥガルトにあるポルシェ博物館から歴代の名車とレーシングマシンを、この広大な会場に運び込んでいたからだ。

ポルシェは、ル・マン24時間レースで最多の18回優勝という輝かしい実績のあるカーメーカーだ。そこで今年は過去40年間に同レースを勝ち抜いたマシンの半数以上を持ち込み、ポルシェを駆ってル・マンで優勝したドライバーも20名ほど招待していた。

幸いなことにこのフェスティバルを訪れることができた僕は、パドックで出会ったル・マン優勝者の一人、ニール・ヤーニ選手に「地球上で最速のレースカーに乗るとは、どんな感じなのか」尋ねてみることにした。


ル・マン優勝者の一人 ニール・ヤーニ選手

2016年のル・マン勝者、スイス人ドライバーのヤーニは、世界の名門サーキットを巡るポルシェ919 エヴォ・トリビュート・ツアーの一貫としてグッドウッドに参加していた。919 エヴォは、2015年から3年連勝した919 ハイブリッドの進化版。2.0リッター・ターボエンジンの燃料供給の制限を解除させ(レースでは制限するから)、電気モーターをパワーアップすることによって出力は900psから1200psに一気に上昇。

名門サーキットそれぞれのラップタイム記録を破るのが目的なので、よりグリップ力のあるミシュラン・タイヤを履かせ、ダウンフォースを強化させるフロントスポイラーとリアウィングとつけている。

最初にねらったのはベルギーの名門サーキット、スパ=フランコルシャン。今年の4月に919エヴォを限界までプッシュしたヤーニ選手は、新記録の1分41.8秒を叩き出した。そのタイムはなんと、F1王者のルイス・ハミルトン選手がメルセデスAMGのF1マシンで出したタイムよりも0.8秒ほど速い。最速F1マシンより速いポルシェ・ハイブリッド? まるで陸上短距離の新人選手がいきなり現れて、五輪王者のウサイン・ボルトの100メートル9秒58という記録を破ってしまうかのようだ。

文=ピーター ライオン

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