仮想通貨のプロたちがイーサリアムを「空売り」する理由

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仮想通貨市場で第2位の時価総額を誇るイーサリアムの価格は、今年に入り36%下落した。しかし、一部の専門家はイーサリアムの下落はこれらかも続くとみている。

ニューヨーク本拠の仮想通貨ヘッジファンド「Tetras Capital」は、今年に入りイーサリアムの空売りで利益を出している。同社は2018年5月からイーサリアムの空売りを始めたが、当時の価格は572ドルから659ドルだった。それが今では470ドル付近まで下落した。

6名の従業員を抱えるTetrasはフォーブスの試算では3000万ドル(約33億円)を運用中だ。同社はイーサリアムに空売りをかける一方で、ビットコインには投資を行なっていると創業メンバーのAlex Sunnarborgは述べた。

テック系のスタートアップ「Socialcast」を2011年に1億ドルで売却したTimothy Youngも、家族が運営するサンフランシスコ企業「Hidden Hand Capital」を通じて、イーサリアムの空売りを行なっている。Hidden Handは1億ドル以上を仮想通貨で運用中だ。

TetrasやHidden Handらは、イーサリアムの480億ドル(約5.3兆円)に及ぶ時価総額の正当性に疑問を抱いている。最大の理由の一つはイーサリアムのトランザクション処理容量が1秒あたり15件しかない点だ。これに対し、クレジットカードのVisaは秒間2万4000件のトランザクションが可能だ。

「イーサリアムには極めて優秀な開発者が集まっている。長期的に考えれば、処理容量の問題は解決されるだろう。しかし、短期でみると価格とテクノロジーの間に大きな乖離がある」とYoungは述べた。

イーサリアムは単一の企業が支配するものではなく、DAppsと呼ばれる非中央集権的アプリケーションがプラットフォーム上で稼働している。しかし、個別のアプリのユーザーが5000人に満たない状況でありながら、ネットワークの容量は満杯に近い。ネットワークの混雑がプラットフォームを利用するための費用の高騰を招いている。
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編集=上田裕資

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