ジョルジオ・アルマーニの暮らしを表現する、イタリアブランドの哲学

3シーターの「NIELSEN」は、グリーンの張地を使って洗練された雰囲気に。コーヒーテーブル「NORIGAMI」は、2cmという薄板で構成している。


もうひとつの特徴は、“A sense of lightness”と称するデザインにある。これは大型のダイニングテーブルや大理石製のコーヒーテーブルのような重くて動かせない主役家具は、天板を薄くするなどして“軽やか”に見せ、逆にスツールやサイドテーブルのように、過ごし方に合わせて移動させる家具は、デザインで“重厚感”をつくりつつ、素材や構造によって軽くするテクニック。


12人掛けのダイニングテーブル「NELSON」も、天板や脚部を薄くデザインして、軽やかさを表現した。天板は麦の茎部分を使って寄木細工のように仕上げている

この軽いという個性は、スーパーカーや腕時計などにも共通するラグジュアリー業界のトレンドでもあるが、アルマーニ/カーザでは、洗練された構造と上質な素材の組み合わせで軽さを表現している。

「ファッションとデザインというイタリアを代表する2つの分野には、密接な関係があります。全てにアイデアがあり、形状や質感、美しさと機能性というバランスが求められますし、伝統と専門性を重視します。これはインテリアデザインにも言えることでしょう。“家”というのは、そこに住む人々のためにある。ですから機能だけでなく、温かく迎え入れる場所でなければいけません。家とは本当の自分に戻れる場所なのです」
 
ミラノサローネでは、多くのファッションブランドがデザイン哲学を語り、インスタレーションを展開している。しかしアルマーニ/カーザは、あくまでも暮らし方を提案する。それでも街を歩けばジョルジオアルマーニやエンポリオアルマーニのブティックがあり、ラグジュアリーなアルマーニホテルもある。

ミラノという街全体が、ジョルジオ・アルマーニという傑出した人物のライフスタイルを表現する場所であり、その一部を垣間見られるのが、アルマーニ/カーザなのである。

photograph by Mitsuya T-Max Sada edit&text by Tetsuo Shinoda

この記事は 「Forbes JAPAN 「富を生み出す人」の秘密」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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