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科学と医薬を担当。21世紀は生物学の世紀であると信じている

23andMeの遺伝子検査キット(photo by courtesy of 23andMe)

英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)はこのほど、新薬の開発で遺伝子検査サービスの米スタートアップ、23andMeと提携することを明らかにした。

GSKは23andMeにおよそ3億ドル(約332億円)を出資。新薬の開発コストと利益はいずれも折半する。契約期間は4年。

提携についてGSKのハル・バロン最高科学責任者(CSO)は、「…より短期間でのより良い、よりコストを抑えた創薬が可能な新たなモデルがあるということを、示せると思う。この重要な問題に関する業界全体の考え方を、真に変化させることができるかもしれない」と述べている。

また、23andMeの創業者でもあるアン・ウォジスキ最高経営責任者(CEO)は、両社の提携が自社に“変革を起こすもの”になるとの見方を示している。GSKは「強力なパートナー」だという。


23andMeの創業者アン・ウォジスキCEO

GSKは、非公開会社である23andMeへの出資にあたっての同社の評価額や、具体的な条件などは明らかにしていない。23andMeは昨年9月に2億5000万ドルを調達しており、その際の評価額は17億5000万ドルだった。また、フォーブスは先ごろ、ウォジスキの保有資産を約4億4000万ドルとする調査結果を公表している。

500万人のDNAデータを活用

23andMeは利用者およそ500万人の唾液から、それぞれのDNAデータを収集している。利用者は同社の検査を通じて自分の遺伝的傾向や祖先に関する情報を得ることができ、23andMeは膨大な量の遺伝情報を入手することができる。

GSKと23andMeはこうしたデータをどのように薬物開発に使用するのだろうか?パーキンソン病の原因遺伝子であるLRRK2を活用した新薬の開発が、その一例となるかもしれない。

パーキンソン病の患者数は、米国ではおよそ100万人。そのうちおよそ1万人が、LRRK2遺伝子の変異によってパーキンソン病を発症したとみられている。GSKはLRRK2を活用した治療薬を開発中だが、臨床試験への参加を要請できる患者を見つけるのは大変な作業だ。

一方、23andMeの利用者の中にはLRRK2遺伝子に異変があるパーキンソン病患者がおり、そのうち250人が、臨床試験への参加に同意している。両社が提携することで、新薬の開発にかかる期間は大幅に短縮することができるだろう。

LRRK2 に関する知識を利用したパーキンソン病治療薬の開発は米デナリ・セラピューティクスも進めており、すでに臨床試験を開始している。

23andMeとGSKの提携は、バロンと23andMeのリチャード・シェラーCSOが以前、いずれもスイスの製薬大手ロシュの子会社、米バイオ医薬品企業のジェネンテックに勤務、その後も交流を続けていたことから実現した。

編集=木内涼子

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