しかし、上場を目前に控えたピンドォドォに対する商標権侵害の訴訟が、ニューヨークの連邦裁判所で起こされた。北京本拠のおむつメーカー「Daddy’s Choice」は、ピンドォドォが同社のブランドを騙る偽物を販売し、製品の安全に対する懸念を生じさせ、損害を与えたと訴えている。
原告弁護団チームはまた、ピンドォドォが中国で2017年以来、累計で224件の訴訟を抱えていると述べている。裁判資料によると、そのうち200件は同社の親会社の「Shanghai Xunmeng」を相手取ったもので、少なくとも153件の訴訟が取下げとなっていた。
ピンドォドォではトイレットペーパーのパックが1ドルや、ベッドのシーツが5ドルなど、生活必需品を安く買えるのが強みだ。アリババやテンセントが中国の富裕層を囲い込む一方で、同社は地方都市に住む低所得者層をターゲットにし、シェア拡大に成功した。ピンドォドォでは偽物の「パンパース」のおむつが、「Parmebos」のブランド名で販売されている。
同社は上場目論見書で、「コストコとディズニーランドの融合」という言葉を用い、手頃なショッピングを通じたエンターテイメントの創出を目標とすると述べていた。
ピンドォドォは2015年に元グーグルのエンジニアである38歳のColin Huangによって設立された。ウィスコンシン大学マディソン校出身のHuangは連続起業家として知られ、有名ベンチャーキャピタリストのLi Kaifuの支援も受けている。2016年に同社は1億1000万ドルを調達しており、出資には中国の投資銀行「Banyan Capital」やテンセントも参加していた。今回の上場でHuangの資産額は80億ドルを突破するとみられている。
ピンドォドォは年間の流通総額が300億ドルを突破したと述べており、アクティブユーザー数は3億人以上という。アナリストの中には今後の同社が、アリババの「タオバババ」に匹敵する規模に成長すると述べる者もいる。
コピー商品の問題をピンドォドォは以前から認識しており、粗悪品や腐った食品、返金対応の悪さに対するクレームも受けていた。2017年に同社は1000万件のアイテムを、サイトから削除し、問題に対処していく姿勢をみせていた。しかし、今回の商標権侵害訴訟を受けて、ピンドォドォのIPO価格がダメージを受ける可能性が高まった。