ビジネス

2018.07.29

米国の「監視国家」化、加速させるのはアマゾンか?

Ken Wolter / Shutterstock.com


アマゾンの巨大なデータベースには、匿名化されたプライム会員が保存している画像も含まれている。そして、同社には「Rekognition(レコグニション)」と名付けた画像・動画解析プログラムがある。レコグニションは1枚の画像から最大100人を識別できる性能を誇る。

そして、最も重大なことは、同社のクラウド部門であるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を利用するソフトウェア開発者は誰でも、オープンAPIを通じてレコグニションを利用できるということだ。

AWSは米国防総省から大規模なビジネスを受注しており、今後100億ドル規模ともいわれる新規事業を受注する可能性があるとみられている。米紙ワシントン・ポストは今年5月、オレゴン州ワシントン郡の保安官事務所がレコグニションを使用していることを報じており、法執行機関がすでに同技術を採用していることも明らかになっている。

同業他社には警戒感

一方、アマゾンと同様に大規模で、関連する専門知識を持ったテクノロジー大手のマイクロソフトとアルファベットは、政府や軍による市民の監視から距離を置こうとするかもしれない。

マイクロソフトの従業員らは、メキシコとの国境で拘束された移民が幼い子供たちと引き離されている問題を受け、移民税関捜査局との業務契約を解消するようサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)に要請した。

アルファベットは6月上旬、従業員の求めに応じ、国防総省との間で結んでいるAIを使ったドローンの研究に関する契約を更新しない方針を明らかにした。アルファベットは同契約を通じた収入が今後、年間およそ2億5000万ドルにまで増加すると見込んでいたと伝えられている。

あらゆるものにAIが導入されるとみられるなか、アマゾンが獲得する潜在的なビジネス機会の大きさから考えれば、同社の現在の株価はまだ安いと言えるだろう。

編集=木内涼子

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