Close RECOMMEND

世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版


縦割のカテゴリーを、横の視点から串刺す

畑中:若林くんはよく「コンテキストを散らす」って言うでしょ。『WIRED』の特集でも「次に来そう」という世間の予想を裏切って、一つのコンテクストに収斂しないようにやってたと思うんですよ。それこそぼくの連載を載せてみたり。ぼくにもそういうところがあって、「こんなのも民俗学なの?」っていうものを出していくようにしているんですよ。それは、やっぱり専門家じゃできないことだと思うんですよ。

若林:畑中さんの仕事が面白いなと思うのは、やっぱり、領域横断的だからだと思うんです。ぼくが『WIRED』っていうメディアは優れた発明だなって常日頃から思ってたのは、「テクノロジー」っていうスコープを通して世の中を見ると、ビジネスだろうがカルチャーだろうが、医療だろうがスポーツだろうが、どんなカテゴリーも扱えちゃうっていうところなんです。

畑中さんの場合、おそらくは「大衆の感情」というようなものがスコープになっていて、そのスコープを通して社会を見るとどんなカテゴリーの話題でも扱えちゃうという格好になってるんだと思うんです。縦割になっていたカテゴリーを、横の視点から串刺しにしていくというか。それは、専門家には、たしかにできないことですよね。雑誌編集者の厚顔さがないとやれない(笑)。

こんなところで引用するのもおこがましいんですが、ぼくの大好きな蔵本由紀先生という非線形科学の大家は、これまでの科学は主語的な統一を目論んできたけれど、これからは述語的な統一が大事なんだって言ってまして、それを自分は一種の編集論として勝手に理解していたんですが、今日の畑中さんのお話を聞いて、改めて、その言葉を思い出しました。

畑中:編集者っていうのは、何かが期待通りのところに収斂しそうになるのを、ある意味まぜっかせす存在なんだと思うんです。佐内正史さんの写真集の編集を過去に何冊か手伝わせてもらったんですが、佐内さんとデザイナーの二人でつくっていたところに、佐内さんが僕を誘ってくれて参加したんです。

もともとの佐内さんとデザイナーさんは友達のような仲だったので、おそらく二人の間で、落とし所がすぐに諒解できちゃって、それが面白くなかったんだと思うんです。そこで、第三者的に、ああだこうだと色んな角度から色んなことを言って混ぜっ返す存在が必要だと気付いて誘ってくれたんだと思うんです。

若林:まぜっ返すの、ほんと得意ですもんね(笑)。編集者ってのは、なんでこんなにヒネくれてるんだって、ほんとに最初めちゃめちゃびっくりして、こりゃ大変な世界に入ってしまったと思ったんですよね(笑)。

文・写真=太田明日香

PICK UP

あなたにおすすめ