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2018.07.25 17:00

マンガ・アニメ原作を囲い込み、「エンタメ帝国」を目指すテンセント

(getty images)


中国版「小説家になろう」が人気のわけ
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そこで、ネット文学とマンガを統括するテンセントの事業グループ、「インターネット・エンターテイメント・グループ」(IEG)を広東省深圳市で取材した。

IEGが管轄するのは稼ぎ頭のゲームを筆頭に、アニメ・マンガ、ネット文学、映画などの娯楽産業だ。雑多な取り合わせにも思えるが、要するにIP(Intellectual Property、原義は知的財産だがエンターテイメント業界では原作版権を意味する)の開発とマルチメディア展開を担っていると考えれば理解できる。

IEGは2012年に泛娯楽戦略を発表、同一原作をアニメ、マンガ、ネット文学、ドラマ、映画、ゲームなどに水平展開する方針を打ち出した。特に歴史が古いネット文学には人気作品が多く、近年ではドラマや映画の原作として大量に活用されている。ドラマ『琅琊榜』など日本にも輸入された中国コンテンツの多くはネット文学が原作だ。
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ネット文学(中国語で網絡文学)は電子書籍(中国語で電子書)とは異なるものだ。電子書籍はアマゾンのキンドルのように、紙の本を電子化したものを意味する。一方のネット文学とは投稿サイトで発表された小説だ。その意味では、日本の小説投稿サイト「小説家になろう」「カクヨム」と似ている点が多い。長期連載で読者の意見をくみ取りながらストーリーを続けていく手法しかり、人気ジャンルしかり。

日本では異世界転生モノが人気だが、中国では欧米系世界や中華系世界を舞台としたファンタジー、武侠小説要素、異世界転生、ゲーム世界での冒険などをごった煮にしたような「玄幻」というジャンルが人気だ。なお最近では現代物も人気だというが、なんらかの特殊な力で職場や学校で「無双」するという内容が中心だとか。

「玄幻」とは世界が異なっても、爽快感がカギという点では変わらないようだ。ほぼ毎日のように更新されていく小説を、隙間時間に携帯で読むというのが一般的なネット文学の読書だという。

日本と中国の違いは「収益モデル」にある。無料広告モデルで運営される日本と異なり、有料モデルを採用している点が大きく異なる。単位は文字数で、1000文字で1円以下という超低額でも課金できるシステムが特徴的だ。さらに打賞と呼ばれる投げ銭システムも導入されている。これに加えて紙での出版、ゲーム化、映像化などのIP開発が収入となる。「大神」と呼ばれる有名作家ともなると、巨額の収入が得られる。

華西都市報が今年4月に発表したネット作家収入ランキングによると、トップの唐家三少は1億3000万元もの版権収入を得たという。
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文=高口康太

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