「中国の消費者らは暮らしを便利にするテクノロジーを広範囲に受け入れようとしている」とマリオットのアジア・パシフィック部門のPeggy Fang Roeは述べた。「マリオット中国はアリババと共同で、6カ月をかけてこのソリューションを開発した」
顔認証チェックインの採用で、従来は3分かかるプロセスが1分まで短縮できるという。マリオットはこのシステムを杭州市と海南島のホテルで試験運用した後、世界に拡大していく計画だ。
顧客らはチェックインにあたりマシンにIDカードを挿入した上で、自身の写真を撮影。利用規約への同意や連絡先情報の入力等を行なう。すると、アリババの顔認証ソフトが顧客のIDチェックを行なった後、マシンから客室のキーが出てくる仕組みだ。
コンサルティング企業「Ipsos」のデータでは、中国人消費者の6割が顔認証テクノロジーを前向きに捉えている。今回の2都市でのテスト導入にあたりマリオットは行政当局とも連携をとり、顧客のデータを収集するという。杭州市は中国でテクノロジー導入が盛んな都市として知られ、海南島は人気のリゾート地として知られている。
中国では昨年9月、KFCチャイナが顔認証技術「スマイル・トゥ・ペイ」を店舗での決済に導入。杭州市の店では決済マシンに笑顔を見せるだけで、アリペイ決済が行なえるようになった。
中国では顔認証技術の導入が進む一方、モバイル決済の利用も一般化している。アリババのアリペイは5億2000万人、テンセントのWeChatペイは6億人に利用されている。
マリオットとアリババは2017年8月にパートナーシップを結び、デジタル技術を活用した顧客サービスの向上を目指してきた。マリオットは今後、アリババの旅行サービスプラットフォーム「Fliggy」の活用を、世界各地のホテルで進めたい考えだ。
マリオットによると、チェックインの自動化はスタッフの削減が目的ではなく、顧客にパーソナライズされたサービスを提供するためだという。
「自動化によってチェックインの際の待ち時間が削減できる。しかし、ホテルに着いたゲストを暖かく迎え入れるのは人間にしか出来ない仕事だ」とマリオットの担当者は述べた。