テキストメッセージやインスタントメッセージは、電子メールより少しましだ。間髪おかず会話を交わした場合、双方向の交流がある程度存在する。しかし、書き言葉では表せない深い文脈を、身ぶりや口調などを使って伝えることはできない。絵文字や顔文字を使えば良いと言う人もいるかもしれないが、こうした記号は普遍的なものではなく、解釈は人によって異なるので、メッセージが誤解されたり、さらには完全に無視されたりするかもしれない。
とはいえ、電子メールやテキストメッセージ、インスタントメッセージの使用をやめるべきというわけではない。更新情報の共有や仕事の割り当てについての連絡、プロジェクトの進捗の簡単な確認、会議予定の確認などは、こうした手段を使って構わない。しかし、こうした連絡手段を会議の代わりにしてはいけない。
口調や表情が絆を深める
電子メールやテキストメッセージ、インスタントメッセージよりも効果的なのが、ボイスメール(留守番電話)だ。時代遅れの技術に思えるかもしれないが、ボイスメールを使えば、身振りは伝えられないものの、声の調子を伝えることができる。
実際に通話できれば、さらに効果的だ。身振りはなくても口調は伝わるし、双方向のコミュニケーションが成立する。
実は、社会的距離を改善する最も効果的なコミュニケーション技術は、無料で簡単に手に入る。それは、スカイプやフェイスタイムのようなアプリケーションだ。どちらも携帯電話から使用でき、口調や双方向のコミュニケーション、ある程度の身ぶりを伝えることができるため、対面の会話に近いコミュニケーションをシンプルな方法で実現できる。
こうしたアプリを使えば、言いたいことをより的確に表現でき、相手から視覚的・身体的なフィードバックを得ることができる。こうしたフィードバックは、本物の、意義ある会話をするために必要なものだ。現在は、ほぼ全ての携帯デバイスの正面にカメラがついており、ビデオ通話はどこでも簡単にできるはずだ。
こうした対面の会話を活用すれば、1日中電子メールを交換することなくプロジェクトの詳細を詰めたり、従業員のやる気を高めたり下げたりするものが何かを会話を通して理解したりすることができる。相手の口調や、声の抑揚、表情、身振りに注意し、こうしたヒントを通して遠隔勤務者と深い絆を築こう。
スカイプやフェイスタイムのようなアプリは、遠隔勤務者との個人的なつながりを深める大きな一歩だ。数回の電話や電子メールを、スカイプやフェイスタイムで置き換えれば、遠隔勤務者が参加し、情報共有し、つながりを構築するような環境を作れる。遠隔勤務者に対し「あなたが職場に物理的に存在しなくても、精神的・心理的、そして生産性の面で、あなたはチームの立派な一員です」と伝わる文化を醸成できる。