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20代は「自分が影響受けるものは、自分で決めない方がいい」

20代のころやっておけばよかったなあ、と唯一後悔していることがあります。それは英語です。

2016年、アンリアレイジというファッションブランドがパリコレに出たとき、僕はステージの音楽を担当させてもらいました。そのときの音楽が好評で、ショーが終わった後、インタビューが殺到したんです。

でも、彼らは僕が英語をしゃべれないとわかった瞬間、パーっと散っていった(笑)。まさか自分が世界で仕事をすることになるなんて思っていなかったんですが、真面目に勉強しておけばよかったなあと。

もう一つ、20代のみなさんにお伝えできることがあるとすれば、「自分が影響受けるものを自分で選んでいたら、都合の良い自分にしかなれない」ということです。

今は簡単にさまざまな情報を手に入れられるけど、情報が多すぎて「自分で選んだもの」しか入ってこない。でも、あまりにも自分で選べる、決められる状況にいてはいけないんだなと思っています。

僕はメジャーデビューすることで、TVに出なくてはいけなかったり、10代の子たちの感情を研究したり、売れるためにはどうしたらいいかを考えたり、自分が本来思ってたことと全く違う研究をした。それをしなければならない状況に追い込まれた。

結果的にそれをしたことで、想像してない自分になれました。今では、自分にとって大きな財産になっています。

「自分で手に入れた」ものだけから影響を受けると、きっとつまらない自分になるんじゃないかな。予期せぬ出来事や情報から影響を受ける。そして、それを楽しんでみる。不確実に身を任せたらきっと、人生が面白くなるんじゃないかな。そう思いますよ。



山口一郎(サカナクション)◎1980年生まれ。北海道小樽市出身。5人組ロックバンド「サカナクション」として、2005年に活動を開始し、2007年にメジャーデビュー。楽曲のほとんどの作詞・作曲を手掛ける。「ミュージシャンの在り方」そのものを先進的にとらえるその姿勢は常に注目を集め、近年では各界のクリエイターとコラボレーションを行いながら、音楽と様々なカルチャーが混ざり合うイベント"NF"を2015年スタートさせている。

文=明石悠佳 写真=小田駿一

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