ただ、このニュースはアマゾン・ドットコムが行ったプライムセールの過去最高の売上高や、ウォルマートの競争力維持に向けたさまざまな努力、中国のeコマース各社の問題といった話題に隠れ、それほど大きく伝えられることはなかった。
1ドルショップの「ダラー・ゼネラル」は、すでにダラーツリーとほぼ同数の店舗を展開している。わずか2つの小売チェーンが約3万にも上る店舗を営業していることを考えてみてほしい。さらに、米国内には「99センツ・オンリー・ストアズ」や「ファイブ・ビロウ」をはじめ、他にもいくつものディスカウントチェーンがある。この記事を読み終わるまでの間にも、これら各社のいずれかが新たに1~2店舗の営業を始めるかもしれない。
小売業界の現状を示す驚くべき数字には、次のようなものがある。
・大手6社(ウォルマート、クローガー、コストコ、ホーム・デポ、CVS、ウォルグリーン)の店舗数の合計は、すでに1ドルショップチェーン2社の店舗の総数を下回る
・国内の大手百貨店の店舗数の合計は、1ドルショップチェーン2社の店舗の総数より15%少ない
・年間売上高で見ると、ダラーツリーとダラー・ゼネラルの合計は、百貨店大手メイシーズとJ.C. ペニーの合計を上回る
オンラインとオフプライス(安売り)での販売は、変化する小売業界に多大な影響を及ぼしてきた。そして、1ドルショップも同様に、業界に変化をもたらしてきた。ただ、1ドルショップによる変化がどのようなものかについては、まだ明確に理解されていない。
スーパーマーケットには、ビジネスが根底から覆されるような変化が起きた。アマゾンのホールフーズ買収の一方で、オンラインの宅配サービスが拡大し、ドイツのディスカウントストア・チェーン大手2社(アルディとリドル)も、前後して米国に進出した。それでもこれら各社の影響は、1ドルショップが米国の消耗品市場に起こした変化に比べれば、ほとんど“丸め誤差”の範囲だ。