──日本女性が、あなたのように世界を変えるだけのパワーを持つには、何が重要ですか。明日から実践できるヒントやツールがあれば、教えてください。
女性が世界の変革に一役買うには、自分自身の周りの世界を変えることから始めるのもいい。女性は、マッチョなバーンアウト文化の代償をより多く払わされるのだから、それを変えたいというインセンティブも大きいはずだ。いわば、「第3次女性革命」である。
第1次革命は、1世紀以上前にさかのぼる女性参政権を求めた戦い(*米国では、1920年に女性参政権が発効)。第2次革命は、まだ進行中だが、社会のあらゆる部分に女性がアクセスし、進出できるようになること。第3次は、単なるアクセスを超え、昇進の機会など、真の平等を手にすることだ。露骨なやり方にしろ、巧妙な方法にしろ、女性を軽んじる職場文化を変革することだ。女性は、自分たちにとって機能する職場で働かなければならない。
女性は、出世の階段を上り、ガラスの天井を打ち破るという観点から、キャリアを考えがちだ。それはそれで素晴らしいが、上を目指しつつ、左右にも目を配ろう。出世の階段を上るだけでなく、その階段の幅を広げるのだ。他の女性に手を貸す地位に就いたときには、そうしよう。
だが、他の女性を支援しながら、自分自身を大切にすることも必要だ。機上で、人を助ける前に自分の酸素マスクを付けるよう言われるのと同じ論理だ。自分を大切にすれば、仕事がうまくいく。そして、(その自信や安定から、育児など)仕事以外のことも、より効率的にできるようになる。
アリアナ・ハフィントン◎1950年ギリシャ生まれ。69年に母親と共にアテナからロンドンへ渡り、ケンブリッジ大学へ。女子学生としては3人目となるケンブリッジ・ユニオン・ソサイエティの代表に。73年「The Female Woman(未邦訳)」で作家デビュー。80年、母親と共に渡米。作家、コラムニストとして活躍する。05年ハフィントンポストを創設。11年AOLが買収。16年同編集長を辞任、「スライブ・グローバル」を創業。
Forbes JAPAN9月号(2018年7月25日発売)は女性特集。「100通りの転身」と題して、アン・ミウラ・コーはじめ、世界と日本で活躍するビジネス・ウーマンの100を超える「転機」と「判断軸」を一挙に紹介。