ビジネス

2018.07.23

退任するフィアットCEOが「後に残すもの」

セルジオ・マルキオンネ(Photo by Pier Marco Tacca/Getty Images)


次世代のリーダーが「最大の遺産」

マルキオンネは卓越した、そして挑発的な業界リーダーとして記憶されることになるだろう。フィアット、そしてクライスラーを救い、世界的な自動車メーカーに作り上げた。また、マルキオンネは「資本を無駄にしている」と同業他社を批判。一貫して業界再編を訴えてきた。失敗に終わったものの、米ゼネラル・モーターズとの合併も目指した。

そして、ジープをはじめとする強力なブランドを築き、現実的なアプローチで事業を推進してきた。自社が持つ専門知識の限界を認め、そうすることが合理的であると思えば、パートナーを探した。

一方、マルキオンネの最大の遺産と言えるのは、彼が見つけ出し、管理職として引き上げ、将来のリーダーとして育て上げた有能な人材かもしれない。ハングリー精神のある人材を評価し、複数の役割をこなす機会を与えてきた。

クライスラーの元ディストリクトセールスマネージャーで、現在はアルファロメオとマセラティのグローバル事業部門のトップであるティム・クニスキス、工場長からグローバル調達・製造部門を任され、現在はグローバル品質管理部門のトップとなっているスコット・ガーバーディングなどがその例だ。

こうした人材の一人であるマンリーは、英国内で自動車販売に携わった後にダイムラー・クライスラー(当時)に入社。国際販売部門を率いるポジションに就いた。2009年にフィアットがクライスラーに資本参加すると、最も収益性の高い事業部門、"クラウンジュエル"だったジープの責任者に指名された。

マンリーとマルキオンネには、共通する強さがある。そして、マンリーは新CEOとして"リズムを外すことなく"、彼なりの即興性を見せていくことになるだろう。

編集=木内涼子

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