ビジネス

2018.07.25

スタートアップ界最強の女性は、いかに「3足のわらじ」を履きこなす?


奥本:私も二児の母ですが、夫が家事のサポートしてくれるので助かっています。それでも、仕事と子育ての優先順位をどうつけたらいいか悩んでいます。アメリカで仕事をしているのは、子育てを優先できるという理由も一つにはあるんです。日本はまだまだ、子育てを優先するのが難しい状況がありますからね。

アン:母親としては絶対に譲れないものがありますよね。私の場合、子供が参加する学校の行事や病院への付き添い、週2回の夕食は譲れません。また、子供たちも、私の“仕事愛”をよく理解してくれています。出張に同伴して、働く母の背中を見せているからかもしれません。

しかし、子供を優先させることは仕事にもいいことだと思います。優先させる分、子供から離れている時間をより価値あるものにしよう、頑張ろうという気持ちになるからです。

奥本:最後に、日本人女性へのアドバイスをお聞かせ下さい。

アン:まず、仕事では自分を信じること。会議では、誰に何を言われようが、恐れずに自分の考えを口にすることです。特に、女性は男性以上に意見を述べてほしいと思います。また、女性は他の女性のことをもっと認めてほしい。会議で、他の女性があるアイデアを出したら、それについてこう思うと考えを述べることです。女性同士でサポートし合う姿勢が重要です。
 
プライベートでは、家事を手伝うことはもちろんですが、自分の仕事にも関心を示してくれるようなパートナーを得てほしいですね。夫は、私が表紙に登場したフォーブスを何冊も買って知人たちに配ったほど、私の仕事を誇りにしています。私の一番のチアリーダーでありファンなんです。だから、不安に襲われても、怖くありません。どんな時も励ましを忘れない、そんなパートナーを見つけましょう!


アン・ミウラ・コー◎1976年生まれ。NASAの科学者として働く父と母の元、サンフランシスコ郊外ベイエリアで育つ。パロアルト高校卒業後、イエール大学医学と音楽のダブルメジャーで入学するも、電子工学で卒業。マッキンゼー、チャールズリバーベンチャーズを経てスタンフォード大学院応用数学で博士号取得。2008年にマーク・メイプルズとベンチャーキャピタルフラッド・ゲートを共同創業。投資先であるLyft、Refinery29などの役員も務める。

奥本直子◎米シリコンバレー在住戦略コンサルタント。米ヤフーVP、ベンチャー・キャピタルのWiLパートナーなどを経て17年独立。Amber Bridge Partners CEO、ミスルトゥUSAマネージング・ディレクター、Blueshift Global Partnersパートナー。

Forbes JAPAN9月号(2018年7月25日発売)は女性特集。「100通りの転身」と題して、アン・ミウラ・コーはじめ、世界と日本で活躍するビジネス・ウーマンの100を超える「転機」と「判断軸」を一挙に紹介。

構成=飯塚真紀子

この記事は 「Forbes JAPAN 100通りの「転身」」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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