閉じる

PICK UP

世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

米フォーブスの「最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング」で2年連続リスト入り。スタートアップ界最強の女性とも呼ばれるシリコンバレーのベンチャーキャピタリスト、アン・ミウラ・コーに、在米戦略コンサルタントの奥本直子が聞く、「ベンチャー投資」と「女性」。


奥本:リフトやタスクラビットなど注目の企業に初期投資をして成功されていますが、どんなファクターが投資の決め手となっているのでしょうか?

アン:まず第一に“ブラックスワン”と呼ばれる企業に投資しています。ブラックスワンとは、どこからともなく現れ、企業価値が何百ビリオンドルにも達するような成功を収める可能性を秘めた企業のことです。フェイスブックはもちろんですが、当社が投資しているリフトもブラックスワンといえるでしょう。

奥本:しかし、ブラックスワンになりえる企業は数少ないと思います。なぜ、リフトがブラックスワンになれると判断されたのでしょうか?

アン:当社は、プロダクトとして市場に出る前段階のものに初期投資することを主眼としています。リフトについても、リフトとして市場に登場する前段階のジムライドに2010年に投資しました。経済史を紐解くと、アメリカでは経済の大きなシフトは運河や鉄道、高速道路の発達など新たな交通手段が誕生することから生じています。

しかし、近年は、ジップカーの登場以降は、新たな交通手段が生まれていませんでした。そろそろ新たな交通手段が生まれるのではないかと感じていたところ、ジムライドを見つけ、これだと思ったのです。

奥本:リフトはウーバーと競合していますが、どうしてリフトに投資されたのでしょう?

アン:ウーバーの登場以前からジムライドに投資をしていたからです。私のような初期段階の投資家は単なる投資家であるだけではなく、語弊はありますが、“共謀者”でなくてはなりません。企業の創設者とある意味"共謀"して、そのサービスが世界に存在すべきか否かをという極端な視点から、ビジネスを考えるんです。そのため、同種の他企業に投資するのは意味がありません。

また、私は投資した企業には非常に忠実です。誰かが電話でウーバーを呼ぼうとすると“ウーバーは削除してよ”と言うほどです(笑)。それだけ、リフトの成功を確信しています。役員も務めているので、リフトは今や家族のような存在です。

奥本:ビッグデータの解析ソフトを生み出したアヤスディにも投資しておられますね。前の投資会社で投資検討をしましたが、マシーンラーニングのパイオニアともいえる素晴らしい会社ですね。

アン:お話したブラックスワン以外では、私は“エクセキューション・カンパニー”と呼んでいる、特許による防御力が高い企業にも投資しており、アヤスディはこれに当たります。同社は出会った当時はまだプロダクトを生み出していませんでしたが、確かなテクノロジーを持っていると確信し、投資しました。

確信通り、そのテクノロジーは癌治療に貢献しようとしています。脳内サーキットの活動を見るマイクロ顕微鏡を作ったスコピックスも防御力が高いので投資しています。

構成=飯塚真紀子

あなたにおすすめ

合わせて読みたい