デジタル変革時代における、経営者が持つべき視点とは?


Q. テクノロジー業界以外の経営者もこの点について考えているのでしょうか。

A. そう願いたいですね。どのビジネスにとっても存亡の危機ですから。世界最大の自動車配車会社である「ウーバー」はクルマを所有していません。民泊最大手「エアビーアンドビー」はホテルを持っていません。デジタル資産を規模の経済で管理する能力の有無がすべてを変えてしまったのです。

CEOや取締役会は「資産や業界地位、強大な力をいかに使えばいいか」について真剣に考えるべきです。さもなければ、いずれ別の誰かに取って代わられるでしょう。

Q. 取締役会に「変化が必要だが、しばらくの間は業績が厳しくなる」と提案するには、よほど力のあるCEOでなければ厳しいのでは。

A. それなら、「3年間は死の谷をさまようことになります。でもそうしなければ、生きたまま食われておしまいです」と答えるだけのことです。CEOが取締役会にそう提案して支持を得られないようならば、辞任することを真剣に考えたほうがいいですよ。

Q. VMウェアに移る前、インテルで30年過ごされましたね。インテルの共同創業者であったロバート・ノイスやゴードン・ムーア、アンディ・グローブから学んだこととは?

A. ゴードンは今まで存在した中で最もつつましい富豪ですよ。妻と私でメイシーズへ買い物に行ったとき、ゴードンの妻、ベティが1ドルのビンを物色していました(笑)。

Q. ノイスとグローブはよく揉めていたようですね。彼らはよく一緒にやっていけましたね。

A. ロバートとアンディの議論を見れば、きっと「殺し合おうとしている。互いを憎んでいる」と思ったことでしょう。でも、アンディはそうした議論を愛していました。彼は意見を持っていて、それをデータで証明した上で守ろうとする人を求めていたのです。

interview by Rich Karlgaard photograph by Eric Mi l lette

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