若かりし頃をインテルの共同創業者たちのもとで過ごした、仮想化ソフトウェア開発会社「VMウェア」のパット・ゲルシンガーCEOがイノベーションと、経営者が持つべき視点について語った。
Q. テクノロジーが進歩する速度は上がっていますか。それとも、落ちていますか?
A. 両方ですね。(半導体の集積度が2年で倍増する)ムーアの法則は止まっていません。ただ、緩やかになっています。今までは2年で倍でした。今は3年ごとに倍進化しているような感じです。
Q. それはなぜでしょうか。
A. 14ナノメートルから7ナノメートルに技術を高めるのが大変だからです。物理的な限界に近づいています。製造するには相当量の資金が必要です。
Q. それでもテクノロジーは進歩している、と?
A. クラウドの時代ですからね。1000ドルとクレジットカードと引き換えに、世界最大のスーパーコンピュータを2分間借りられますよ。それもかつてないような規模のものを、です。世界中の起業家がきっと使いたいでしょうね。
Q. あなたの言う「テクノロジーの4大スーパーパワー」とは何でしょうか。
A. クラウド、モバイル端末、IoT(モノのインターネット)、そしてAI(人工知能)です。クラウドは無限の拡張性、モバイル端末は無限のリーチ、IoTは無限のアクセス、AIは無敵の知性をもたらします。こうした4つの現象がカスケード効果(ある現象がねずみ算的に増えていくこと)を起こすことにより、史上最も速い技術的な進化が起きているのです。
Q. AIは人々を驚嘆させると同時に脅威を感じさせています。なぜいま、AIは急激に進化しているのでしょうか?
A. 過去30年、AIの基礎はゆっくりと変化してきました。それが脅威的な速度で変化しているのは、かつてない容量のデータとコンピューティングパワーがあるからです。AIアルゴリズムの核となる考え方そのものは大して変わっていません。
Q. ハードウェアの進化が大きいということですね。
A. 昔のようなお粗末なアルゴリズムであっても、尋常ではない規模で大量のデータを処理できるので興味深い結果を生み出せるはずです。それが変化の理由です。