なかでも興味深かったのが、ソフトバンクがしかける駐車場シェアリングサービス「BLUU Smart Parking」(以下、BLUU)だった。BLUUについては、ソフトバンクワールドの前週に都内で発表会が行われ既報も少なくないが、関係者から直接解説を聞いていると、駐車場シェアリングサービスが持つ可能性を改めて実感することができた。
BLUUのサービスの肝は大きくふたつあるように思えた。ひとつは、IoTセンサや人工知能を使った「駐車場利用の最適化」。もうひとつが、ビックデータを利用した「駐車場の価値最大化」だ。
前者は駐車場を利用したいユーザーにメリットをもたらす。BLUUのアプリでは、駐車場の検索や予約ができるようになっていて、仮にサービスが普及すれば、ユーザーは駐車場を探してウロウロ、イライラするなどのケースが減っていくかもしれない。
また「1分単位で駐車料金を加算する」(ソフトバンク関係者)ことを想定しているそうで、実現すれば財布にもとても優しそうである。駐車場利用の最適化が果たされれば、空き待ち時間も短縮。渋滞問題解決など、社会的なメリットももたらされるはずである。
一方で後者は、駐車場オーナーや地主にメリットをもたらすとされている。ソフトバンクが他関連サービスで収集したデータと、駐車場シェアサービスで得たデータを組み合わせることで、駐車場を貸す時間配分の効率化、またダイナミックプライシングなど、駐車料金の細かいマネージメントができるようになるからだ。BLUUは、導入コストが既存の駐車場システム(フラップや精算機など)より割安という前評判もある。空地を駐車場として有効利用したいと考えているオーナー予備軍にとっては、うってつけのソリューションであるというのが同社側の説明である。
一方、ソフトバンク側のマネタイズポイントは、データ解析結果とアプリの提供、つまり「駐車場のコンサルティング業務」になる可能性が高い。ソフトバンク関係者は「BLUUのセンサやシステムの初期費用については、従来の駐車場設備より大分安い。ただ現在は、見積もりを取ってもらった法人にのみ提示している。収益については、発生した駐車料金からレベニューシェアする形も想定している」と話している。