だが幸運にも、米科学工学医学アカデミー(NASEM)はつい最近、2年間に渡るセクハラ調査を終え、いくつかの提言を行った。
NASEMの焦点は学術界でのセクハラ問題だが、その見識とアドバイスの多くはあらゆるタイプの組織に適用できるものだ。中でも特に有効だと思われる提言があるが、残念ながら組織には決して採用されないようなものだ。
クライメイト・サーベイ
NASEMは先月発表した報告書で、セクハラ問題を減らすための有効かつ実践可能ないくつかの解決方法を提案している。NASEMからのアドバイスは全て理に適ったものだが、中でもハラスメント削減の可能性が高く、かつ組織へすぐ簡単に適用できるひとつの方法がある。それは、シンプルな“クライメイト・サーベイ(現状調査)”だ。
NASEMは報告書の中で「セクハラを予防する環境を作り出すためには、まず現状をはっきり把握し、監視を続けていくことが必要だ」としている。つまり、自組織内のセクハラの現状を明らかにすべき、ということだ。
組織内にハラスメントは存在するか? もしあれば、どのような種類のハラスメントか? この方法は簡単に実践できるものであり、最もシンプルな形式では、従業員に対してチェックリストに記載された行動を経験または目撃したことがあるかどうかを定期的に問うだけで済む。
メリット
現状調査の実施により、組織内にある既存の問題や潜在的問題、特にセクハラ問題の発生頻度や種類を把握できる。組織側は調査結果を受け、従業員が直面する特定の問題への対応策を練ることができる。
組織の多くは現在、正式な苦情が出るまで自組織内のハラスメントの状況を把握できない状況にある。しかし、セクハラ被害者の大半は問題行動を正式に報告しないことが、調査結果から示されている。現状調査を行えば、従業員の経験したハラスメントの程度や種類をより正確に把握できる。