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2018.07.22

スポティファイが推進する、ミュージシャンとの「直接契約」

ラッパーのトラビス・スコット(Photo by Getty Images)

スポティファイは楽曲をより多くの人に楽しんでもらいたいアーティストや音楽レーベル向けに、未発表音源のプレイリストへの掲載申請の受け付けを開始した。

スポティファイには900万人以上がフォローする「Rap Caviar」や、500万人近くがフォローする「Hot Country」などの人気プレイリストがあり、ここに掲載されれば一気にリスナーを増やすことが可能だ。

「この窓口が今後、多くの音楽関係者に利用されることを期待している。スポティファイのアーティスト向けアカウントにログインし、音源を編集チームに提出してほしい」とスポティファイは声明で述べた。

「提出の際にはその楽曲のジャンルや雰囲気など、できるだけ詳細なデータを添え、どのプレイリストがふさわしいかを判断する材料を提供してほしい。スポティファイは掲載にあたっての透明性を重視しており、対価を得てプレイリストに掲載することはない」と同社は述べている。

ミュージシャンたちが手軽に使える申請プラットフォームの設立は、特にインディー系のアーティストらにメリットをもたらすことになる。音楽メディア「ビルボード」は先日、スポティファイがインディー系のアーティストと非独占の配信契約を結んでいると報じていた。音楽レーベルやアーティストらは、一定数の楽曲の配信許諾と引き換えに、スポティファイから数十万ドル単位の前払金を受け取れるという。

ビルボードによると、スポティファイ側はアーティストとの直接契約により、大手レーベルとの契約よりもロイヤリティ額を抑えられるという。しかし、アーティスト側はメジャーレーベル経由の場合よりも多くの収入が得られる。また、スポティファイは独占配信権や楽曲の所有権を求めないという。

このビジネスモデルは、アップルミュージックがかつて、膨大な金額と引き換えにドレイクの楽曲の独占配信権を獲得したのとは対照的だ。アップルはチャンス・ザ・ラッパーの「Coloring Book」に関しても独占契約を結んでいた。

スポティファイは今年4月、ニューヨーク証券取引所に上場し、初日の時価総額は265億ドル(約2.8兆円)に達した。同社が今後、どの程度の額をアーティストらに支払うことになるのかは不明だが、スポティファイがアーティストと友好的な関係を築こうとしていることは明らかだ。

編集=上田裕資

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