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2018.07.22 17:00

業績急回復の台湾PCメーカー「Acer」のマーケティング力

Faiz Zaki / shutterstock.com


CEOはマーケティング畑出身
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「エイサーは、同じ台湾のエイスースなどに比べて不利な立場に置かれていた。エイスースはコンポーネント事業で長年の実績があり、若者層から大きな支持を得ていた。しかし、今後ゲーム市場がマス層に拡大していく中で、エイサーが時間をかけて育てたPredatorブランドは大きな可能性を秘めている」とIDCのBryan Maは話す。

台湾の大手メディア「聯合報」はChenがエイサーを経営危機から復活させたと称賛した。56歳のChenは、かつて「IBM」や「TSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー)」で経営トップを務め、2014年にエイサーのCEOに就任した。

聯合報はChenについて「マーケティング畑出身で、歯に衣着せぬ物言いで知られる」と紹介している。他の台湾大手テック企業のトップとは異なり、ChenはTシャツでイベントに登場することが多い。
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エイサーの発表によると、Chromebookの業績はこの四半期で2桁成長を達成し、世界最大のChromebook市場である米国では売上高が20%も増えたという。

2013年にエイサーは過去最悪の業績を記録し、売上高は対前年比マイナス16%の3600億台湾ドル、純損失は114億台湾ドルだった。創業者のスタン・シー(Stan Shih)は、同年の年次レポートの中で、「業績不振の年」と述べている。

シーは1976年にエイサーを創業し、業界大手に育て上げた。同社は、多くの起業家を輩出している。台湾は、80年代から90年代にかけて世界のPC市場を席巻したが、シーはその立役者だ。当時の台湾製品と言えば模倣品のイメージが強かったが、シーは世界に通用するブランドを作り上げだ。

しかし、エイサーの主力事業であるPC部門は長年赤字が続いた。業界アナリストのSagitta Panは、PCやゲーム機器に対する世界的な需要の高まりがエイサーの直近の業績を後押ししたと指摘する。

「通常、第2四半期にノートパソコンの需要がピークを迎える」とPanが話す通り、9月から始まる新学期に備えてPCを購入するユーザーや、最新機器を買い求めるゲーマーが多かったと分析されている。

編集=上田裕資

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