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2018.07.20

エティハド航空の業績不振 エアバスとボーイングに波及も

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ダグラスCEOは、今後は競合のエミレーツのように大陸間をつなぐ便に焦点を当てるのではなく、本拠地アブダビ発着便に専念すると表明している。ドバイ空港(2017年の利用者数は世界最多の8800万人を記録)やアブダビ空港を利用するこれらの便は、湾岸諸国の航空会社が政府から膨大な支援を受けていると主張する米航空各社の怒りを買っている。フォーブスは2015年、エティハドの帳簿上の利益、1億300万ドル(約115億円)に、UAE政府から現金や無利子融資の形で受けた17億ドル(約1900億円)近くが反映されていなかったと報じている。

同社の問題は、航空機製造業界を複占するエアバスとボーイングにも波及するかもしれない。ダグラスCEOは、所有航空機数を2倍にする計画がもはや現実的ではないと判断し、エアバス、ボーイングの両社に発注済みの広胴型航空機数十機のキャンセルについて交渉を進めていると明かした。

既に運行中の115機に加え、エティハドはエアバスに98機、ボーイングに77機を発注済みだ。この中には、ボーイングの777・787長距離型機や、エアバスのA350-900・A350-1000が含まれる。

ロイター通信は先日、エティハドが「もはや25機の777X旅客機は必要ないと考えており、座席の過剰供給から将来繰り返し生じる損失を抱え込むよりも、解約違約金を払うことを望む可能性がある」と報じている。777X機1機の定価は4億2600万ドル(約470億円)であることを考慮すると、解約によりボーイングは100億ドル(約1兆1000億円)の売り上げを逃してしまう可能性がある。

エアバスも無事ではいられないかもしれない。エティハドはA350-900機(1機3億1740万ドル/約350億円)を40機、A350-1000機(1機3億6600万ドル/約405億円)を22機発注済みだが、どれもまだ納品されていない。

最終的には、エティハド最大の競合、エミレーツ航空が良き友となるかもしれない。エミレーツグループのアハメッド・ビン・サイード・アルマクトゥームCEOは、2017年について「原油価格の高騰によってコストが上がる一方、容赦ない競争で利益が圧迫された」と述べたが、それでも同社は昨年10億ドル(約1100億円)の利益と、史上最高となる272億ドル(約3兆100億円)の売上高を達成した。

エティハドとエミレーツの完全統合は、現時点では選択肢にはないかもしれない。しかし、両社は既に、保安面で協力を開始している。またエティハドは現在、同社の操縦士がエミレーツでの仕事を受けつつ、エティハドでの地位を維持することを許可している。

こうした友好的な取り決めにより、エティハドが最終的に収益を上げることは可能かもしれない。しかし、エティハドの基盤強化と経費削減により、エアバスとボーイングへの投資家には果たして影響が出るだろうか?

編集=遠藤宗生

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