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2018.07.21

「エコ文明」目指す中国、温暖化問題の救世主となるか?

Harvepino / shutterstock


中国の"グリーン"ストーリーの中で最も刺激的な部分は、政策でも実践方法でも、テクノロジーでもなく、その物語にある。習近平は、「生態文明(エコ文明)」という新たな物語を自国に組み込んだ。そのコンセプトは未だに定義が定まっていないが、自然と自然資本を中国の成功の中心へ据えるというコミットメントに軸を置いている。

習近平は「澄んだ水と緑豊かな山々には、金銀の山と同じ価値がある」と言った。このより広範なイデオロギーに導かれ、中国政府は業績管理基準として、国内総生産(GDP)成長率に加えて環境対策の進展へも目を向けるようになった。

この問題に対する中国のコミットメントは、3つの面から試される。1つ目は、経済が低迷した場合に再生可能エネルギー補助金をどう継続するか。2つ目は、住民がまだ中間所得層に達していない貧しい地区で、新たな製造業と採取産業の機会をどのように開発するか。そして最も重要なのが3つ目で、東アジアから西アフリカにかけてインフラ整備と貿易を促進する中国の「一帯一路」構想における投資、政策、企業活動にとって、炭素排出がどれだけ重要なのか、という問いだ。

"もしも"の仮定が重なる話だが、もし中国が国内で最も発展が遅れている地域でより責任ある開発を支援し、費用面で苦難を強いられた場合でも度胸やコミットメントを維持し、「グリーン一帯一路」を実現させ、その進歩をもたらしたイデオロギーを輸出できるのだとしたら、これこそが気候問題に対して我々が楽観的でいられる最大の理由となるだろう。

編集=遠藤宗生

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