この週に伝わったニュースとしては、アメリカの調査会社のトレフィスが、年末のビットコイン価格予想を1万2500ドルから1万ドルに下方修正したことが10日、米経済誌フォーブスへの寄稿で明らかとなった。ビットコインの法規制面でポジティブなニュースがないこと、またビットコインのアドレス数が先月、2016年9月以来の数値へと減少したこと、各アドレスの取引額も大きく減少していることなどを踏まえたとのこと。
このほか、IBMが新たな仮想通貨の開発に着手したとも伝わっている。米ドルにペッグする安定した仮想通貨を検討しているとのことだが、正直、さほど買い材料視するような内容ではない。どちらかというと、ビットコイン価格予想の引き下げなどネガティブなニュースの方が目立った印象である。
ただ、そのような環境のなか、ビットコイン価格は反発を強めた。こうした地合いでの上昇の背景として「大口の売り方による買い戻し」が考えられよう。
株や為替の世界では、年初来高値を更新したタイミングで上げ幅を広げるケースが多々見られる。これは、売りポジションを持っていた投資家が、高値更新のタイミングであきらめて買い戻しを入れるからである。売り方のポジションが多い銘柄ほどこうした値動きは見られるので、株の世界では信用倍率は重要な指標といえよう。
仮想通貨の世界では、正直、売り方のポジションは見えないので、今回の筆者の考えは推測の域を超えられないものである。一方、昨年12月に米国のCME、CBOEでビットコイン先物の売買が誕生して以来、ヘッジファンドなど大口の投資家による仕掛け的な売買は増加傾向にあると考える。
日本や欧米株式市場といった時価総額の大きい市場で多種多彩な経験を積んだ投資家からすると、時価総額十数兆円規模のビットコイン市場は魅力的に見えるだろう。ビットコイン先物に対する売り(買い)仕掛けが、現物のビットコイン市場に与えるインパクトは大きいと見る。今週は、CBOEのビットコイン先物のSQ週だったこともあり需給的なインパクトがビットコイン価格を押し上げたのではないかと推測する。
では、このままビットコインは反発を強め100万円台を回復するのかどうか。現状、30日移動平均線で計算したボリンジャーバンド+3σに達したことから利益確定の流れが強まると考える。80万円前後でしっかりとした価格形成が見られれば、次の上昇となるだろう。今週末から来週にかけては78万円から85万円のレンジを想定する。
連載:「仮想通貨」マーケット実況
過去記事はこちら>>