ビジネス

2018.07.26

W杯ポーランド戦から考える、周囲を納得させる勝ち方の法則

Photo by Patrick Smith - FIFA/FIFA via Getty Images




組織の中は、上記図のように、法規制や組織の中で定められている社則などの個別規制とともに、そのベースとなる“倫理”があります。倫理とは、社会で守るべき秩序のこと。したがって、いち会社やチームを超えるスケールで貫かれている基準といえます。

よって、この倫理の部分がうまく組み込まれていないと、サントリーの「絶頂上手い出張」のように炎上します。サントリーは、現在の社会において性的差別に対して不寛容な人が多くなっていることを考慮していれば、多額のマーケティング費用をムダにすることもなかったでしょう。

赤ちゃん本舗は、子育て中のお客様を応援したいという気持ちから、子育てをメインにしている母親に向けたメッセージをのせていましたが、時代とともに子育ての担い手が変わったことに顧客からのフィードバックで気づき(自ら気づかなかったという落ち度はあるものの)、即時対応をしたことで、社会の倫理に寄り添う会社として認識されたことがプラスになりました。

倫理まで考えた戦略か?

スポーツにおいては、その倫理として「スポーツマンシップ」という言葉が用いられます。運動会の開会式で「スポーツマンシップにのっとり、正々堂々と戦うことを誓います」という選手宣誓が行われているように、スポーツマンシップとは、「公明正大に全力を尽くすこと」と解釈されています。

W杯ポーランド戦は、結果的に決勝リーグに進むという喜ばしい展開になったものの、そのスポーツマンシップ(倫理)という点がひっかかり、両手を上げて喜べない人も多く、勝利でも議論が割れました。つまりそれほどに、倫理が及ぼす影響が大きい、と捉えることもできるのではないでしょうか。

自分がいる組織だけでなく、自分が所属している社会の倫理は何か? そして戦略がそれに合致、または即していることで、「正しい」かつ「美しい」と見なされるのだと思います。

自分が通そうと思っている提案は、自社の掲げる目標と同時に、アピールするマーケットやそのマーケットが存在する社会の倫理に沿っているか? この視点で考えてみると、納得感があり賛同される「勝ち」に繋がります。

事業開発のプロが教える「グローバル基準の仕事術」
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文=秋山ゆかり

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