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2018.07.19 17:00

ソフトバンクなどが1.2億ドルを出資する米ライト、潜在力に期待

ライトのCEO デイブ・グラナン(Courtesy of Light)

撮像と信号処理を融合させたコンピュテーショナルイメージングのスタートアップ、米ライト(Light)は7月19日、ベンチャーキャピタルのソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が主導する資金調達ラウンドで1億2100万ドル(約136億円)を調達したことを明らかにした。出資者には、高級カメラメーカーのライカカメラも含まれる。

ライトの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のデイブ・グラナン(54)は今年2月、SVFを設立した孫正義と会うため、東京を訪れた。孫と直接会うのは、出資に関する交渉を始めて以来、初めてだった。その後、グラナンは東京とシリコンバレーでの2回の話し合いを経て、孫からの出資の約束を取り付けていた。

ライトがこれほど多額の資金を調達することができた大きな理由は、ロボットやドローン(無人飛行機)、そして自動運転車など、今後が期待される各業界との協力が見込めることにある。ライトは複雑なアルゴリズムを使い、複数のカメラモジュールからの画像を結合して高品質の画像を生成。被写界深度を深めることも可能な技術を持つ。

グラナンは、配車サービス大手のウーバーや同業のグラブ、ゼネラルモーターズ(GM)の自動運転車部門クルーズに多額の投資を行ってきた孫は、自動運転車が周囲の状況を把握するのに必要なセンシング技術「LiDAR(ライダー)」に取って代わるものとしてのライトの潜在性に、直ちに気付いたのだと話す。

ライトの技術を使った製品は、ライダーを採用したものに比べて軽量、かつ安価だ。同社とウーバーやグラブ、クルーズはすでに、来年第4四半期までに自動運転車の新たなプロトタイプを完成させることを目標として、協議を開始しているという。

グラナンは2013年、以前はルーセント・テクノロジーとベル研究所で研究開発に携わっていたラジブ・ラロイアとともにライトを設立。2015年には最初のカメラ「L16」を発表した。L16は昨年から、1950ドルで一般消費者向けに販売されている。

L16には、16個の小型カメラが搭載されている。シャッターを押すと、10個のレンズが同時にデータを記録。どのレンズが最適の写真を撮影できるかは、カメラに実装されたソフトウェアが判断する。

グラナンによると、今年9月には同社の技術を採用した初のスマートフォンが発売の予定だ。長期的には、ライトはセキュリティーやロボット工学、自動車、航空などの分野で自社技術が採用されることを目指している。例えば、食品デリバリー用のロボットや、ドローンなどへの適用が考えられるという。

連続起業家のグラナンは、「ライトは(これまでに設立した)3社目の企業。ベンチャーキャピタルからの資金調達は、今回で11回目だった。これほど大きなネットワークを築くことができたのは初めてだ」と語る。今後のさらなる投資についても、話し合いを進めているという。

今回の資金調達により、カリフォルニア州パロアルトに拠点を置くライトがこれまでに調達した金額は、およそ1億8600万ドルとなった。グラナンは同社の評価額を明らかにしていないが、米調査会社ピッチブックによれば2年前の時点では1億4800万ドルだった。

編集=木内涼子

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